研究課題
サルコペニアは、骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義され、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、死亡などとの関連も報告されているが、骨格筋量・筋力がどの程度低下するとリスクとなるのかを追跡して検討した報告はない。本研究では、都市部一般住民を対象としたコホート研究(吹田研究)において、骨格筋量・筋力およびその推移とその後の代謝性疾患罹患との関連を追跡検討する。今年度は、筋力(握力)と糖尿病発症の関連について解析した。筋力は左右握力の平均値(連続変数)、糖尿病発症は空腹時血糖値126mg/dl以上、随時血糖値200mg/dl以上、HbA1c 6.5%以上、糖尿病薬使用中の一項目以上を満たすことと定義した。2005、2006年度の健診受診者のうち非糖尿病の2643人(男性1088人、女性1555人)を2018年3月末まで平均8.0年追跡し、男性118人、女性104人が糖尿病を発症した。握力1kg増加あたりの糖尿病発症のハザード比(95%信頼区間)は、以下の通りであり、女性(年齢、HbA1c調整)で有意な関連を認めた(BMI調整で関連は消失)。男女[性年齢調整]:1.013(0.996-1.031)、男女[性年齢、HbA1c調整]:1.016(0.999-1.034)、男女[性年齢、HbA1c、BMI調整]:1.012(0.995-1.030)男性[年齢調整]:1.005(0.983-1.027)、男性[年齢、HbA1c調整]:1.009(0.988-1.032)、男性[年齢、HbA1c、BMI調整]:1.008(0.985-1.030)女性[年齢調整]:1.028(1.000-1.058)、女性[年齢、HbA1c調整]:1.029(1.001-1.057)、女性[年齢、HbA1c、BMI調整]:1.019(0.993-1.047)
4: 遅れている
産休・育休を取得したため、研究業務が遅延した。
今年度の解析で、女性において握力と糖尿病発症に有意な関連を認めた(BMI調整で関連は消失)。今後は、BMIの階層別に、握力の糖尿病発症への影響を検討する。また、除脂肪体重と糖尿病発症の関連についても解析する。
本年度の研究が遅延したために生じた次年度使用額は、物品費、論文投稿費などに使用する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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