研究課題/領域番号 |
19K19490
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
西 健喜 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70759472)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Forensic DNA Phenotyping / FDP / 身長 / 身長予測 / SNP |
研究実績の概要 |
当該年度は東アジア地域において身長との関連報告のある9 SNP(rs11205277、rs2217257、rs7513464、rs1540825、rs2070762、rs4369779、rs1560710、rs58744877およびrs58280444)について日本人152名(男性78名、女性74名)の保有Allele(対立遺伝子)の解析を行った。現在までに3つの地域(ヨーロッパ地域、東アジア地域および日本)で報告されたSNPのうち、合計で51のSNPについて保有Alleleの解析が終了している。各SNPの身長に効果のあるAlleleの保有数をスコアとして換算し、実身長との比較解析(t検定)を行った結果、男性で相関係数0.424、女性で相関係数0.363と、身長と効果Allele保有数(スコア)との間に弱い相関を示した。また、身長傾向を3群(高身長、中身長、低身長傾向群)に分類して解析(1-way ANOVA)したところ、男性では中身長~高身長傾向群と低身長傾向群との間に有意な差(p<0.0001)が認められ、女性においても同様の傾向群の間に有意な差(p<0.05)が認められた。上記の結果から高身長+中身長傾向群と低身長傾向群についての予測精度をROC曲線(Receiver Operatorating Characteristic curve)で解析したところ、スコア41.5の値をカットオフ値として、男性=感度76.92%、特異度78.13%、女性=感度76.92%、特異度68.42%の精度を示した。これまでの結果は現在までに解析した51の全SNPが含まれており、効果Alleleが逆の傾向を示したSNPも含まれている。また低身長傾向の予測に偏っていることからも、高身長傾向に対して有意に働くSNP(遺伝子領域)の解析を進めることで、3群傾向分類の実現可能性は高いと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染蔓延により、新規サンプル(口腔粘膜)採取の中断を余儀なくされたため。
|
今後の研究の推進方策 |
サンプル採取が可能であればボランティアを募集する予定であったが、現段階において募集から解析までを行うのは期間的に難しいと考えられる。現在までの結果で低身長傾向群の予測精度は比較的高い水準にあることから、高身長傾向群に効果的な解析SNP数を増やすことで対応できると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染蔓延により、新規サンプル(口腔粘膜)採取の中断を余儀なくされたため、ボランティアへの謝礼が生じなかったため。
|