研究課題/領域番号 |
19K19501
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
天野 薫 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (90747833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん看護 / 高齢者看護 / 領域横断的ケア / 質評価指標 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,がん診療の場で高齢がん患者と対峙する臨床看護師が,がん看護と高齢者看護の双方の視点を持って高齢がん患者への看護ケアを発展させていく過程を促進するために、がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアの質評価指標(以下、質評価指標)を開発することである。 当初の計画では、がん看護を専門とする臨床看護師を対象とした面接調査と高齢がん患者3名への援助経過記録から、がん看護と高齢者看護の視点を融合したケア技術について明らかにし、質指標の項目を作成する予定であった。しかし、令和元年度において、看護学の領域横断的看護ケアの質指標の内容妥当性を高めるためには、がん看護を専門とする臨床看護師の実践知だけでなく、高齢者看護を専門とする臨床看護師の実践知も統合していく必要性が課題と示された。 そこで、令和2年度は、当初の計画を一部変更し、全国の医療施設に従事する老人看護専門看護師および認知症看護認定看護師を対象に追加調査を計画し、同意が得られた者に対し、オンラインによる面接調査を実施した。がんだけでなく、認知症を含めた疾患を併存する高齢者へのケアの倫理や他職種とのチーム活動・連携におけるコミュニケーション技術の展開、ライフステージを考慮したケアの在り方についての語りが示され、がん看護と高齢者看護の視点を融合するケア技術を明らかにするための豊かなデータが得られた。 今後、得られたデータの分析を行い、看護ケアの質評価指標の項目の作成とその妥当性の検討に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度において、がん看護と高齢者看護の領域横断的看護ケアの質指標の内容妥当性を高めるために、がん看護領域の臨床看護師の実践知だけでなく、高齢者看護領域の臨床看護師の実践知も統合していく必要性が課題として示された。以上の課題を踏まえ、令和2年度は、当初の計画を一部変更し、全国の医療施設に従事する老人看護専門看護師および認知症看護認定看護師を対象に追加調査を計画し、実施した。 当初、令和2年度4月時点で、調査方法は対面での面接法によるデータ収集を計画し、倫理審査委員会での承認を得る手続きまで終了していたが、その後のCOVID-19の感染拡大による接触制限・移動制限措置等に伴い、医療施設の看護職を対象とした対面での調査が実施困難となった。そこで、データ収集方法をオンラインによる面接法に変更し、所属施設の倫理審査委員会での手続きを再申請し、承認を得て、全国の医療施設に従事する老人看護専門看護師および認知症看護認定看護師に研究協力を依頼し、研究参加の同意を得た者に対し面接調査を実施することができた。 前年度の研究成果から導かれた課題に基づき追加調査を実施したこと、その追加調査の実施にあたり、社会情勢の変化によりデータ収集方法の変更手続きに時間を要したことが、進捗が遅れた要因である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は最終年度に該当するため、令和2年度までに得られたデータをもとに、質評価指標作成を完成させ、質評価指標の妥当性を検討するための調査を倫理審査委員会の承認を得て実施し、質評価指標の精錬を図る。令和2年度の研究の進捗に遅れが生じたため、時間を要する分析については、前年度に購入した研究支援ソフト等を活用しながら効率的かつ効果的に実施していく。COVID-19の影響が持続することが予測されるため、質評価指標の妥当性を検討する専門家会議の開催については、感染対策を考慮した方法を予め選択して実施し、円滑に研究を遂行できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアの質評価指標作成に向けて、令和2年度の調査で収集した面接データの逐語録作成に係る経費が生じる。そして、作成した質評価指標の妥当性を検討するための専門家会議開催に係る経費、研究協力者への謝礼が必要となる。研究の遅れを踏まえ、データ収集・分析を円滑に進めていくための研究補助に関わる費用として使用を検討している。
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