本研究の目的は、がん診療の場で高齢がん患者と対峙する臨床看護師が、がん看護と高齢者看護の双方の視点をもって高齢がん患者への看護ケアを発展させていく過程を促進するために、①がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアを明らかにすること、②がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアの質を測定する評価項目を抽出すること、③作成した看護ケアの質評価指標の妥当性を高めること、であった。 ①に関しては、がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアに関心をもって実践する看護師の看護観と文化的なケア行動を発展させる過程、関連要因について、がん看護と高齢者看護領域の専門看護師および認定看護師へのインタビューデータと高齢がん患者への援助経過記録をエスノグラフィーの手法を用いて分析し解明した。 ②については、臨床看護師が、援助の指針とし援助を内省する中で、がん看護と高齢者看護の視点を融合した看護ケアの内容と看護ケアのアウトカムについて確認し、気づきが得られるものとして位置づけた。①で明らかにした看護観とケア行動、関連要因について、Donabetianの医療の質評価の枠組みに沿って評価項目を抽出した、 ③については、COVID-19の影響や、質評価指標の妥当性を高めるために、①で当初の研究計画に高齢者看護学領域の高度実践看護師へのインタビュー調査を加えたことから、研究の実施に困難と遅れが生じた。そこで、「がん看護」「高齢者看護」「ケアの融合」「領域横断的ケア」「統合ケア」等をキーワードに国内外の文献検討の内容を加え、質評価指標の項目の精錬を図り、内容妥当性を高めることとした。 本研究の成果の一部は、2022年度は論文1件にて発表を行った。
|