非正規雇用形態で働く育児期の看護師のキャリア形成支援システムの検討

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K19502
• 研究機関: 兵庫県立大学
• 研究代表者: 渡邊 里香 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (30822762)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: キャリア形成 / 雇用形態 / 管理者 / 非正規 / 看護師

研究実績の概要

【実施内容】育児期の非正規看護師のキャリア形成支援システム構築に向け、非正規看護師の勤務実態とキャリア形成上の課題を明らかにする必要がある。そのために、2021年度は、2020年度から継続しているインタビューによるデータ収集の実施と、分析を行った。
【調査目的】中小規模病院看護師長を対象として、育児期の非正規雇用の看護師の勤務実態やキャリア形成支援のための課題を明らかにすることを目的とした。なお、育児期とは、末子が義務教育中の15歳以下であることとした。
【結果】看護師長11名より協力を得て、半構造的面接法によるデータ収集を行った。育児期の非正規看護師は、勤務時間に制限をもっており、そのために、受け持ちはせずにフリー業務のみとするなど業務内容にも制限をもっていることが明らかになった。一方、業務内容を制限せずに、正規雇用と同様の業務を行っている非正規看護師も少数いるが、委員会活動のような組織運営に関わる業務は、ほぼ全員が行っていないということが明らかになった。
キャリア形成支援のための課題については、インタビューデータを質的帰納的方法により分析し、考察を行った。育児期の非正規看護師のキャリア形成に関して、6のカテゴリー、30のサブカテゴリーが抽出された。抽出内容を考察し、管理者の視点からみたキャリア形成支援の課題が明らかになった。
本調査は、中小規模病院という、多様性をうけいれて人員を確保している組織で、看護サービスを管理している、看護管理者を対象とすることにより、それぞれの雇用形態の立場の視点の偏りを少なく、非正規雇用看護師のキャリア形成の問題を、抽出することを意図して実施し、成果を得たと考える。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症の拡大をうけ、中小規模病院の管理者に対して協力を得ることが困難な時期があり、データ収集が計画通りに実施できなかったため、概ね半年～1年程度の延期を要した。

今後の研究の推進方策

管理者の視点からみた育児期の非正規看護師のキャリア形成の課題について、支援策を検討するにあたり、今後、当事者に調査する必要があるため、育児期の非正規看護師に対する調査を計画している。

次年度使用額が生じた理由

2019年度末～2020年度に予定していた調査が、新型コロナウイルス感染症の影響のため、データ収集が遅延した。2021年度に遅延した分のデータ収集と分析作業を行った。2022年度にはその成果報告を実施する。学会へ演題登録することと、論文作成することを計画している。また、調査結果に基づき、実施予定の次調査を計画しており、その調査推敲と成果公表のために、期間延長し、助成金使用する。