本研究の目的は、質問紙調査と半構造化面接を併用して、全国のルーラル地域の保健医療の専門家を対象に、既に野田(2018)が特定したコンピテンシーリストをベースに、ルーラル地域で働く看護師と保健師に期待されるコンピテンシーのちがいと共通性を明確にする。また、これらの知見からまずは全国のルーラル地域で働く看護職者に共通する教育プログラムの開発を目指すことであった。 ルーラル地域で働く看護師と保健師に期待される11のコア・コンピテンシーについての全国のルーラル地域の保健医療の専門家5名への質問紙調査の結果、各コア・コンピテンシーの5段階評価による重要度は、看護師4.1~4.8、保健師4.4~4.9であった。全体のコア・コンピテンシーの重要度は、看護師、保健師ともに5段階評価の4(まあまあ重要)以上であり、11全てのコア・コンピテンシーで構成することが適切であると判断されていた。 また、同対象者への面接調査でコード数が多かったカテゴリーは、コア・コンピテンシー(75)、教育(30)、調査方法(21)の順であった。コア・コンピテンシーについてのコード数が多かったのは、「チームワークと協働(27)」、「システムに基づく実践(12)」、「プロフェッショナリズム(12)」の順であった。いずれも保健師、看護師、医師の3職種全ての研究協力者からの発言がみられた。教育についてのコード数が多かったのは、赴任前後の教育の重要性(6)、ルーラル地域のヘルスケアワーカー用教育プログラムの重要性(3)、看護職者への支援、教育のシステム化の重要性(3)、看護師、保健師、医師の協働の教育の重要性(3)、多職種協働の教育の重要性(3)の順であった。調査方法についてのコード数が多かったのは、コンピテンシーの必要性、重要度、優先度(7)、看護職者の経験年数(4)、質問項目数(3)の順であった。
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