研究課題/領域番号 |
19K19526
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉山 祥子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00836174)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看護師 / 責任 / 看護実践 |
研究実績の概要 |
特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師3名を対象として、参与観察ならびにインタビュー調査を行った。参与観察ならびに面接調査から得られたデータを「特定行為を実践している看護師は自らの責任をどのように考え実践しているのか」というテーマに基づいて分析した。その結果、特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師は、自身が実践している医行為において①医行為の実施の可否を見極める、②医師の役割を代行することにプレッシャーを感じる、③実施した処置を最後までフォローする、という責任を考えながら実践していることが明らかになった。特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師は、特定行為を実施する場合、その行為が特定行為として実施できるのか、あるいは実施することが難しい行為なのかを慎重に判断していた。看護師が所属する施設あるいは診療科によって、看護師に実施させる特定行為の範囲も異なっている実態があった。これは、特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師の役割の範囲が明確になっていないことに加え、彼らが所属する施設あるいは診療科ごとに看護師の活動の範囲に対する認識が一致していないためだと考えられた。特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師が医師の指示の下に最終実施者として実施する医行為の内容、さらにその行為に関する責任に関しては、さらに検討が必要な課題であると言える。 さらに、特定行為を実施する看護師は、医師の役割を代行することにプレッシャーを感じていたことが明らかになった。看護師がプレッシャーを感じていた内容は、医師の指示の下に医師の代わりに処方することであった。医師の代理で処方することは、特定行為の38項目には明記されていない。看護師は、医師の役割を代行することに対するプレッシャーを医師との信頼関係によって対処していたことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究課題申請時に計画した内容と実際の研究の進捗状況に大きな乖離は見られていない。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、調査対象の病院ならびに看護師のリクルートに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
看護師が果たすべき責任に関する調査の実施に向けて、対象者のリクルート、対象者が所属する病院、看護部との交渉を行っていく。加えて、観察場面の再検討、インタビューガイドを洗練させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、調査対象の病院ならびに看護師のリクルートに時間を要しているため。
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