研究課題/領域番号 |
19K19527
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大河原 知嘉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (80632091)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 包括的教育力 / 訪問看護実践能力 / 混合研究法 |
研究実績の概要 |
本研究では訪問看護師の包括的教育力を高める教育プログラム開発の基盤研究として、全国的な大規模データベースを用いた質・量的分析と、訪問看護事業所での面接調査による質的分析を統合した混合研究法により、自己教育力、教育力の両側面から包括的教育力向上支援の方策を明らかにすることを目的としており、本年度は初年度である。 1)2014年度の介護情報公表システムデータベースの全国規模のデータを用いて、現任職員を対象とする研修計画と研修の実施記録と関連する訪問看護事業所特性について分析した。その結果、83.4%の事業所に研修計画が、86.0%の事業所に研修の実施記録があると回答していた。多変量解析の結果、研修計画については「看護職員常勤換算数が多い」「准看護師が従事していない」「訪問看護経験3年未満の看護職員の割合が低い」「営利法人でない」「事業継続年数が長い」「居宅介護支援の併設」「特別管理加算(Ⅰ)」「利用者アンケート調査、意見箱等利用者の意見等を把握する取組をしている」「毎年度の経営、運営方針が記載されている」「毎年度の経営、運営方針が記載されている」「組織体制、従業者の権限、業務分担及び協力体制に関する規程等がある」「経営改善のための会議で、利用者の意向、満足度等について検討された記録がある」ほど有意に研修計画があることが明らかとなった。また、研修計画と同じ事業所特性に加えて「日曜日に営業していない」ほど有意に研修の実施記録があることが明らかとなった。 2)訪問看護師を対象とした外部研修を明らかにするために、Web調査を行っている。2020年度も継続して行う予定である。 3)訪問看護師の実践能力レベルと訪問看護開始後の再入院率や在宅死亡率などの利用者アウトカムとの関連を明らかにするために全国調査を行った。今後分析を行い、成果を学会誌に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2019年度~2021年度の3年間で行う予定であったが、研究者の産前産後休暇による研究中断のため、2022年度までの4年間とする変更申請を行い受理された。2019年度計画を一部2020年度に継続して行う予定であるが、下記の通りおおむね順調に進んでいる。 2019年度に実施する予定であったWebからの外部研修に関する情報収集は東京都訪問看護ステーション協会など主要な外部研修実施機関の年間研修実施計画などの情報をホームページ上から収集しており、おおむね予定通りに行えている。 介護情報公表システムデータベースを対象とした研究実施との関連要因の分析は、2014年度データについては分析を行い結果が得られたが、今後は面接調査を行う2021年度により近い2017年度データクリーニングを行い分析する予定である。 また、訪問看護師の看護実践能力レベルと再入院や患者の在宅死亡などのアウトカムとの関連をみるためには既存データだけではなく全国的な調査が必要であると考え、2019年度は一部予定を変更して全国調査を行った。COVID-19の影響もあり十分な回答率は得られなかったが、2020年度に分析を行う。 2021年度以降に実施する予定の面接調査については、本学倫理審査をうけ、承諾を得られた。現在COVID-19の影響で訪問看護の現場も切迫した状況であることが考えられるため、状況を見ながら面接調査対象者を選定し、承諾を得ていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2019年度に行った全国調査の分析を行い、結果を公表していくとともに、2019年度より継続している2017年度分の介護情報公表システムデータベースのdataクリーニングと分析、全国の主要な外部研修提供施設と分析対象の訪問看護事業所とのアクセシビリティに関する分析を引き続き行う予定である。 なお、介護情報公表システムデータベースの分析結果をミシガン大学が主催する混合研究法プログラムに参加する予定を立て予算の計上をしていたが、COVID-19の影響もあり渡航が困難になる可能性がある。そのため、国内の混合研究法のスペシャリストからの助言を得たり、Zoomでのコンサルテーションが得られるように環境を整えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度内の論文投稿を見越して、投稿費を前倒し申請した。しかし産前産後休暇に入ったことなどにより2019年度内に使用できなかったため、次年度に使用する予定である。
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