令和4年度は研究で得られた知見の公表に努めた。ベースラインデータを解析して得られた知見から作成した論文はYonago Acta Medica 65巻2号に掲載された。介入研究の経過報告については第81回日本公衆衛生学会学術総会で発表を行った。尚、介入研究から得られた知見から作成した論文は現在投稿中である。 横断研究では、臨床看護師のバーンアウトの割合が鹿児島県本土で19.6%、離島で36.1%であること、先天性レジリエンスおよび職場の先輩のサポートがバーンアウトと負の関連があることが示された。 本研究の目的は臨床看護師のバーンアウト耐性の形成であり、二次元レジリエンス要因尺度という一般化されている尺度を用い、臨床看護師のレジリエンスとバーンアウトとの関連を評価することできた。看護を語る会という介入によりレジリエンスの獲得を促進できるかどうかについては、現在投稿中の論文の掲載後に研究成果報告書で報告予定である。介入の有効性が証明されれば一般化し、新たなバーンアウト耐性を形成するプログラムの開発につながることに創造性があると考える。また、横断研究の結果より、持って生まれた資質に強く影響を受ける資質的レジリエンスを基にした看護師の採用と配置は医療の全体的な質を向上させる可能性があり、資質的レジリエンスが低い看護師を支援するプログラムの開発は医療の供給側および患者に長期的な利益をもたらすことが示唆される。 看護師のバーンアウトは看護の質低下や離職につながる。今後も看護師不足が続く見通しであり、いかにバーンアウトに陥りにくく、陥ったとしても早期に回復する看護師の育成が必要となる。更に、看護師不足は離島へき地で深刻である。看護の質の低下や離職を防止するために、臨床看護師のバーンアウト耐性を形成することが重要である。
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