本研究で得られた知見では,正面を向いたまま着座するよりも両下肢の間から座面の前方や後方30cmをのぞき込みながら着座することで大腿直筋及び前頸骨筋の筋活動量が低値となる.ある程度筋力が低下した方にも活用できると思われ,残存機能を活用した援助が可能となり被介助者自身も自立した動作をできるという点で自尊心の維持にもつながるものと思われる.介助法では被介助者の横に立ち脇や腰を支えるという動作であるため,従来の正面から抱き合う方法よりも腰部負担も軽減できると思われる.座面後方30cmを覗き込みながらの着座動作では深く腰掛けることができ,洋式便器のように深く座ることが必要とされる場面において活用できる.
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