研究課題/領域番号 |
19K19533
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
稲垣 聡 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70785451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 自己管理支援 / ゲーミフィケーション / ピア・サポート / 患者報告式システム / e-health / m-Health / ICT |
研究実績の概要 |
本研究は、ゲーミフィケーションの要素を取り入れた新たな糖尿病自己管理支援システムを構築し、2型糖尿病患者に使用してもらうことで、糖尿病患者の自己管理に効果があるかを検証し、さらに効果的なゲーミフィケーション要素について検討するものである。 2019年度は、2014年に構築したシステムに、どのようにゲーミフィケーション要素を組み込むことができるかを検討し、再設計した。主たる変更点は、患者個人の自己管理記録を基盤とするシステムから、同病者同士をチームに割り当て、チームメンバー同士の情動的支援、情報交換を促すシステムへとシステム設計を大幅に改修したことである。また、行動を促すために、システム内での投稿に得点を付与することにした。投稿に得点を付与することで、チームおよび、個人の得点を算出し、競合したり、協力したりすることが可能になった。これらの変更に伴い、チーム会議機能、チーム目標機能、チーム比較機能といった新規機能を追加し、さらにTuckmanモデルを参考にして、チーム形成段階ごとにゲーミフィケーションの仕掛け(Prompt)を作成した。チーム会議では、毎週与えられるトピックに沿って、各々のコメントを投稿し、チームメンバーからの反応を得ることが可能である。チーム目標では、チームの目標設定と、目標達成の評価ができる。チーム比較では、チームへの貢献度と、他のグループとの得点比較ができるようになった。これらの機能追加により、同病者同士による協力や競合といった関係性を行動変容の動機づけとして活用することができるようになった。このように、システムの大規模修正を行い、次年度の実証実験に向けて、システムの完成度を高めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画時には、2019年度内にシステム構築を完了し、ユーザビリティ調査を開始する予定であったが、2020年度に繰り越している。この理由は、予算の範囲内で、システムの改修をするためには、研究代表者が自身でシステム外部設計を一部担う必要があり、設計に時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、新たに再設計した自己管理支援システムを構築し、健康男女10名程度を対象にユーザビリティテストを実施する予定である。その後、必要に応じて、システムの修正を行う。2020年の年度末から2021年度にかけて、自己管理支援システムを用いて、研究に対する同意の得られた外来通院中の2型糖尿病患者に対して実証実験をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
システムのデザインに時間を要したため、システム構築が遅れている。そのため次年度に開発費用が繰り越され、次年度使用額が生じている。 2020年度は、システムの保守・管理費用に加え、研究参加者のリクルートのための旅費や、糖尿病看護に関する情報収集や成果発表のため学会参加費、旅費等が必要となる。
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