看護師の勤務形態や労働環境については、以前から離職の問題や潜在看護師の問題についても議論がなされているが、すぐに解決することは難しい問題である。 働き方改革が重要視される現在、交代勤務を行うものが多い看護師という職業においてもその実情の把握は重要といえる。家庭と仕事との両立により生じる役割間葛藤はワーク・ファミリー・コンフリクト(Work Family Conflict:以下WFC)として欧米で提唱され、研究されてきた。そのため、仕事生活と家庭生活の両立において、看護師の支えとなることがどのようなことであるか、また、看護師の妨げとなることがどのようなことであるか明かとすることを目的に本研究を計画した。 WFCについては「仕事から家庭への葛藤」・「家庭から仕事への葛藤」の2方向と、「時間」・「ストレス」・「行動」の3形態より構成される6次元モデルの下位尺度をもつWork Family Conflict Scale(以下、WFCS)が作成されており、WFCS日本語版も開発されている。そのため、調査研究を行うにあたり、WFCS日本語版を用いて役割間葛藤を測定し、調査用紙でえた自由記述解答をテキストマイニングとあわせて分析し、看護師の支えと妨げについて明らかにすることがねらいである。 病院年鑑2021年度版より一般病床数200床以上の病院をランダムに500施設選定し、病院管理者宛にMicrosoft formsを用いたアンケートの協力を依頼し、協力の得られた34施設、計5839通を配布した。2023年3月31日までに1314件の回答を分析し、第43回日本看護科学学会学術集会にて演題名「看護師のワーク・ファミリー・コンフリクトによる自由記述の比較――テキストマイニングの分析を通して――」としてポスター発表を行った。また、学会誌に投稿し、査読を終え今後、掲載の予定となっている。
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