研究実績の概要 |
本年度は、臨地実習において看護学生の情緒的職業コミットメントを高める経験を明らかにすることを目的に看護学生を対象にしたインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、看護学校に研究依頼をする段階まで準備を進めたが、実際に研究依頼をするまでには至らなかった。 インタビュー調査の準備と同時進行で、我が国の看護学分野における職業コミットメントに関する現状と課題を明らかにすることを目的に文献検討を行った。職業コミットメントの定義をみると、コミットする対象は「職業」「専門」が多く、その内容は「態度」「関係・関与」「帰属意識」と言い表されていることが多かった。定義で多く用いられている内容は「個人の職業に対する態度」であるが,そのほとんどが英文を直訳したものであり日本独自の明確な定義は示されていなかった。職業コミットメントの測定尺度をみると、Occupational Commitment Scale(Meyer et al.,1993)を各研究者が独自に邦訳したものが多く使われていた。看護師の職業コミットメントを測定する尺度は,Occupational Commitment Scaleを日本語に翻訳し、信頼性と妥当性が検討された尺度がある(佐藤ら,2015)。一方,看護学生の職業コミットメントを測定する尺度は,信頼性と妥当性が十分に検討されていない。以上より、本研究の目的である看護学生の職業コミットメントを測定する尺度を開発することが必要であると再認識したとともに、職業コミットメントの定義が我が国では不明確であるため、概念分析などの必要性が示唆された。
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