研究課題/領域番号 |
19K19559
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
木下 愛未 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (50783239)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 包括的暴力防止プログラム / 振り返り / 対人円環モデル / 援助特性 / 精神科看護師 |
研究実績の概要 |
2019年度(研究初年度)は、精神科看護師の援助特性を網羅的に明らかにする看護援助行動用対人円環質問紙(Interpersonal Circumplex for Psychiatric care:IPC-PC)の再現性を確認するためのアンケート調査と、IPC-PCの各因子における具体的な看護援助内容をより具体的に把握するためにインタビュー調査を実施した。 アンケート調査は全国の4会場で実施された包括的暴力防止プログラム受講者135名を対象に行った。IPC-PCの下位8因子で主成分分析を行うと支配性軸と親密性軸の2軸を持った8角形ができる。再現性の検証では尺度としての信頼性、妥当性はもとより、IPCの特徴である2軸があること、因子配置の順序が先行研究と同じであること、各8因子は視覚的に概ね等間隔であることの確認を目的としていた。結果として、70名から回答が得られ、欠損と看護師以外の職種を除く57名の分析を行った。主成分分析の結果は拒否的看護援助特性が自己否定的看護援助特性と重なり7角形を示した。その他の因子における順序性、等間隔性は保たれていた。当該因子は自らの看護援助へのネガティブな評価を含むという点で一致しているが、この理由や項目の検討については今後の課題である。 インタビュー調査は、現状で精神科看護師を対象として2施設14名の協力を得ている。IPC-PCの8因子(管理的、利己的、拒否的、自己否定的、従属的、寛容的、確信的、自己肯定的)について、自分が行っている、もしくは他看護師が行っている看護援助で具体的に想起されるものを3-5名のフォーカスグループで自由に挙げてもらった。目標データ数が20であるため今後も継続して調査していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の計画は精神科看護師における当事者への援助特性を明らかにすることを目的 とした情報収集と調査の実施であった。アンケート調査は70名から回答が得られ、精神科看護師を対象としたインタビュー調査は14名の協力を得られたことから、データ数も概ね予定通り得られたと考える。そのため概ね順調という評価ができると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に実施したアンケート調査結果を踏まえ、IPC-PCが7角形となった理由を吟味、精査し、IPC-PCにおける質問項目の再検討を行う。また、インタビュー調査 においては、精神科看護師の援助行動について看護師に加え、当事者を対象としたインタビュー調査を行う(本学倫理審査承認済)。看護師、当事者を対象に得られたデータそれぞれを合わせて分析し、精神科看護援助特性におけるアイテムプールの作成を目指す。インタビュー調査においては、新型コロナ感染症対策によっては研究の進行への影響が考えられる。当該研究課題は予め余裕を持ったスケジュールとしているが万が一研究の進行が遅延する場合は予備期間を使用して実施する。
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