研究課題/領域番号 |
19K19559
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
木下 愛未 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (50783239)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 包括的暴力防止プログラム / 振り返り / 対人円環モデル / 援助特性 / 精神科看護師 |
研究実績の概要 |
2020年度は前年度に引き続き、精神科看護師の援助特性を網羅的に明らかにする看護援助行動用対人円環質問紙(Interpersonal Circumplex for Psychiatric care:IPC-PC)の各因子における看護援助をより具体的に把握するために、看護師と当事者を対象にインタビュー調査の実施と分析(研究Ⅰ)、IPC-PCの質問項目の検討と分析(研究Ⅱ)を行った。 研究Ⅰ-1)看護師を対象としたインタビュー調査は昨年度から継続して行っており、2020年度は看護師3名からの協力を得た。研究Ⅰ-2)当事者を対象としたインタビュー調査では5名の協力を得た。これらについて、質的データ分析ソフトを用い、質的研究の専門家のスーパーバイズを受けながら分析とデータ収集を併合して行っている。 研究Ⅱでは修正試作版IPC-PC質問紙について、日本こころの安全とケア学会に協力を仰ぎ、2019年4月~2020年3月に行なわれた包括的暴力防止プログラム(CVPPP)トレーナー養成研修の受講生1119名を対象にアンケート調査を行って回収した489名のデータを分析した。現版IPC-PCでは主成分分析を行い、第1主成分、第2主成分のみに着目し8因子が作成されているが、IPC-PCが援助行動という限局した対人特性を測定するものであるから、第3主成分も踏まえてそれぞれの2軸で測定されている概念を吟味し、更なる質問項目の検討、分析方法の検討が必要であることが考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はCOVID-19感染症対策のため、研究Ⅰのように施設を使用させていただくインタビュー調査や、研究ⅡのCVPPP研修時のアンケート調査はデータ収集の機会が限られていたことから「やや遅れている」と判断した。本研究は予備期間を設けており、かつ下記方策により今後は進捗するものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究Ⅰは質的研究の専門家からのスーパーバイズを受けながら分析を行っている。しかし理論的飽和にはまだデータが必要であると考えられ、かつCVPPPの振り返りのためのツールとするためには、調査を継続しCVPPPに精通した対象者からもデータ収集を行うことが必要であると考える。これについてはCOVID-19感染対策としてオンラインでのインタビュー調査を検討している。 研究Ⅱでは、2019年度のデータと研究Ⅰの結果を踏まえて、質問項目と分析方法を再吟味しながらIPC-PCの更なる修正を行っていく。 なお、当該研究課題は予め余裕を持ったスケジュールとしているが万が一研究の進行が遅延する場合は予備期間を使用して実施する。
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