2022年度は、1)CVPPP(Comprehensive Violence Prevention and Protection Program)インストラクター5名を対象に看護援助についてのインタビュー調査を行い、2)研究期間を通して作成した対人円環モデル(Interpersonal Circumplex model:IPC)図を看護援助の振り返りに活用した。 最終年度では、総括として、CVPPP振り返りで使用するシートを作成し、実用化に向けた検討を行うことを計画していた。振り返りは以下のように構造化した。①2020~2023年に実施した精神科看護師(CVPPPインストラクターを対象としたものも含む)を対象としたインタビュー調査結果から作成した、精神科看護師から見た看護師の行動を示すIPCの8領域概念のシートを基に、普段行っている・見かけている看護師の行動を挙げてもらう。②シートを基に支配性・従属性・親和性・拒否性といったIPCの2軸の性質からも客観的に看護師の行動を捉える。③2020年に実施した精神障害をもつ当事者を対象としたインタビュー調査結果から作成した、当事者から見た看護師の行動を示すIPCを提示し、看護師の行動が当事者にどのように知覚され、どのように当事者が反応するかという例を示す。④検討する事例で行われていた支援者の行動をIPCの枠組みから多面的に検討する。 2023年2~3月に開催されたCVPPPトレーナー養成研修の4日目午前のロールプレイ演習で行ったところ、援助を良し悪しの2分化ではなく深く捉えることができた、同じ言い方であっても人によって印象が大きく異なることが分かった、IPCの枠組みを用いることがわかりやすかったという意見が聞かれた。今後は本研究で作成した精神科看護師の行動の振り返りのためのサポートツールの有用性を量的に検討することが課題である。
|