研究課題/領域番号 |
19K19567
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
吉田 彩 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10440249)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん / 看取り / 在宅 / 家族 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
がん患者は死の数週間前に症状増悪と日常生活動作の低下が生じるため、在宅患者の家族にとり看取り期の介護負担は大きい。本研究の目的は、先行研究において作成した家族の介護への適度なコミットメントと患者の看取り期の変化への対処を支援する看護援助モデルを臨床活用可能な看護援助プログラムへと発展させ、有効性を評価することである。看護援助モデルは、看取りの過程において家族がとる対処と介護へのコミットメントの程度をアセスメントし、アセスメントに応じた適切な看護援助を示したものである。 2019年度は、看護援助プログラム開発の第一段階として、プログラムの運用方法を作成し臨床で試用することにより実施可能なプログラムへと発展させることを目的とした。プログラムの運用方法の作成では、看護援助モデルに基づき看護援助記録用紙と運用手順書を作成し専門家会議で妥当性を検討した。専門家会議では3名の専門家(がん看護専門看護師、訪問看護ステーション管理者)に看護援助記録用紙と運用手順書について検討いただき、看取り経験の少ない看護師への指針として有用との評価や、表現や必要なアセスメントなどの助言、使用する訪問看護師の負担感への配慮についての助言などを得た。専門家会議での検討をもとにプログラムを修正し、これを臨床での試用に用いることとした。プログラム試用の目的は、在宅がん患者の看取り経験の多い訪問看護ステーションでプログラムを実施し、その結果をもとにプログラムをさらに修正することである。2か所の訪問看護ステーションで実施の内諾を得たが、新型コロナウイルス感染拡大状況により依頼を中断した。2020年度は、プログラムを試用し必要な修正を行う予定である。さらに、看護援助プログラム開発の第二段階として、プログラムの有効性を評価するために、在宅がん患者の看取り経験の少ない訪問看護ステーションでプログラムを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度はプログラムの運用方法を作成し臨床で試用することにより実施可能なプログラムへと発展させる計画であった。プログラムの運用方法の作成として、看護援助記録用紙と運用手順書を作成し専門家会議で妥当性を検討し、必要な修正を行った。その後、修正したプログラムを臨床で試用する予定で2か所の訪問看護ステーションで内諾を得たが、新型コロナウイルス感染拡大状況により依頼を中断した。2019年度に実施予定であった訪問看護ステーションでのプログラム試用が実施できなかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、まず、在宅がん患者の看取り経験の多い訪問看護ステーションでプログラムを試用し必要な修正を行い、次に、プログラムの有効性の評価のために、在宅がん患者の看取り経験の少ない訪問看護ステーションでプログラムを実施する計画である。研究実施前の計画では、家族の悲嘆過程に配慮し看取り後6か月以上経過した後、看取り後の認識を捉えるための家族への面接をする予定であった。しかし、専門家や研究指導者との検討から、看取り後1か月程度以内に訪問看護師が家族を訪問することが多いため、この時に家族の認識を確認する計画に修正した。そのため、プログラムの試用後に6か月以上の期間を空ける必要がなくなり、実施前の計画より早くプログラムの有効性の評価のための実施が可能となると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問看護ステーションでのプログラムの試用のため旅費とグループディスカッションのテープ起こし費用を計上していたがプログラム試用が実施できなかったため次年度使用額となった。次年度にプログラム試用を実施するため旅費とテープ起こし費用を使用する計画である。また、国際看護学会の旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染拡大状況により学会が中止されたため外国旅費を使用しなかった。次年度に国際学会にて研究課題に関する知見を得るために旅費が必要である。
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