本研究の目的は、在宅がん患者の家族の介護への適度なコミットメントと看取り期の変化への対処を支援する看護援助プログラムを作成し有効性を評価することである。看護援助プログラムは、在宅がん患者の看取りの過程において家族がとる対処と介護へのコミットメントの程度をアセスメントし、適切な看護援助を示すものである。 看護援助記録用紙と運用手順書からなる看護援助プログラムを作成後、専門家会議で検討しプログラムを修正した。また、プログラムの運用方法について訪問看護師とグループディスカッションを実施し修正した。患者の状態悪化や新型コロナウイルス感染状況により研究協力者を予定通り確保することは困難であったが、1事例にプログラムを試用することができた。事例に携わった6名の看護師と、複線径路・等至性モデルを用いた分析を行った。介護者の対処に影響した要因の中の看護援助に着目し、看護援助記録用紙が示す看護援助内容「療養者の苦痛を緩和する」が重要であることを確認し、「療養者と介護者の希望に沿った生活が続けられるようにする」「看取り期の変化や対処について書面を用いて説明する」を加え、日本在宅看護学会にて発表した。 さらに、看護援助プログラム実施時の看護師の負担を軽減するために、プログラムの核となる部分を同定し看護援助記録用紙の内容を必要最小限とする検討を行った。2023年度から開始の研究助成において2024年度にデータを収集し分析を続けることとした。また、2024年開催の第8回Public Health Palliative Care International Conferenceにて対象者の介護へのコミットメントについての分析を発表後、ピアレビューを得て同学会誌に投稿する計画とした。
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