研究課題/領域番号 |
19K19569
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
新澤 由佳 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (00710807)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 睡眠 / がん患者 / 化学療法 / 呼吸法 |
研究実績の概要 |
化学療法を受けるがん患者は高頻度で不眠などの睡眠の問題を経験している。近年がん治療の一つである化学療法の治療の場は、がん患者の生活の質(QOL)を維持、向上を目指し、入院から外来中心に移行している。外来化学療法を受ける患者は、QOLを維持できる一方で抗がん剤投与による様々な副作用症状に自己で対応していかなければならない。そのためには、セルフケア行動の継続が欠かせない。 睡眠のセルフケアを継続するためには、患者自身が取り組める簡便な方法でなければならない。そこで、本研究の目的は、近年がん患者の抑うつや不安の軽減への効果が検討されているマインドフルネスを取り入れた呼吸法(以下、マインドフルネス呼吸法とする)の、睡眠の質改善への効果を検証する事である。 2019年度は研究参加者へのマインドフルネス呼吸法指導の詳細や介入プロトコールの詳細を検討した。一般成人に対しプレテストを実施し、実現可能性の点からマインドフルネス呼吸法に取り組む際や継続するために支障になる事などを、安全性の点から呼吸法の実施による不快感や負担感の有無などを確認した。これらが確認できたため、所属機関の倫理審査に申請し、承認を得た。 さらに、研究協力候補施設でフィールドワークを行い、データ収集の場に応じた研究参加者のリクルート方法や研究参加者へのマインドフルネス呼吸法の指導を実際に行う際の場所などを検討し、より詳細な研究計画を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、マインドフルネスの考え方や態度を取り入れた呼吸法の実践に、外来で化学療法を受けている患者さまにご協力いただくこととなる。療養中である患者さまでも無理の生じないような介入プロトコールの検討が必要であったため、介入プロトコールの実現可能性やマインドフルネス呼吸法の安全性の確認のために、一般成人を対象にプレテストを実施した。プレテストの実施期間やその後の介入プロトコールの再検討期間を設けることに予定より時間を要したため、進捗の遅れに影響している。 また、研究参加者のマインドフルネス呼吸法の取り組み前後の睡眠の変化を検証するために、研究参加者には呼吸法の実施以外にいくつかの内容に協力していただく必要がある。研究参加者にご協力いただく内容について、できる限り煩わしさや負担にならないような倫理的配慮をするよう検討を重ねた。その期間が生じたため、当初の予定より進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年の冬から今日まで新型コロナウイルス感染症が拡大している状況であり、臨床側の研究受け入れ状況にも影響している。感染症の流行状況や施設側の多忙さを考慮し、研究協力についての依頼をするタイミングを検討中である。 新型コロナウイルス感染症が終息していない状況である事や、室温などの影響を受けにくい環境下での睡眠状況のデータ収集が必要であるため、2020年の秋、2021年の春にデータ収集を行う計画に変更している。しかし、本研究の研究参加候補者は外来で化学療法を受けている患者様であるため、感染症に罹患することは最も避けなければならない。本研究を推進していくためには、この状況下で研究に協力いただけるように施設と交渉する必要が生じるが、研究参加候補者のリスク回避を最優先に考慮するべきであり、研究協力候補施設から協力不可能である方針が示されれば、それに従う必要が生じる。 万が一、協力いただける施設があれば万全の感染対策に取り組み、施設側の協力を得ながら研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より研究の進捗がやや遅れており、データ収集に必要な交通費が発生していないため、次年度へ繰り越す予定である。また、倫理審査での結果を受けて研究参加者に謝金を支払う計画に変更したため、2020年度はその経費が発生する。
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