研究課題/領域番号 |
19K19570
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
松谷 ひろみ 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (10642655)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神障がい者 / 就労支援 / 農作業 / エンパワメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神障がい者の就労において増加傾向にある「農福連携」について,医療分野との連携・介入の現状を調査するとともに、看護職者が医療的な視点で参入する農福“医”連携モデル(案)の構築ならびに効果の検証を行うことである。 令和4年度は、農福連携に携わる就労継続支援B型事業所の就労支援者が感じる支援上の困難と支援内容、医療的な知識や関わりが必要と感じた場面、医療との連携・介入状況などについてインタビュー調査を行い、M-GTAの手法を用いてデータ分析を行った。その結果、農福連携に関わる就労支援者の精神障害者への関わりのプロセスとして,就労支援者である職業指導員,生活支援員それぞれが関わりの中で,専門とする作業面・生活面の視点をもち,本人の生活の質やその人らしさを考えながら,本人の希望を大切にした関わりを行っていた。就労支援者は希望に添いながら作業能力や社会性を高めるように関わることができる時ばかりではなく,関わりが停滞するサイクルに入ることもあった。また,繰り返し停滞のサイクルに入ってしまったり,停滞のサイクルからなかなか抜け出すことのできない就労支援者も存在した。目の前の精神障害をもつ利用者をどのように理解してよいかわからなくなってしまうことで,自信がなくなり,消極的な関わりになってしまったり,当たり障りなく居心地の良さだけを考えた関わりだけになってしまうと,希望に添うことのできる就労支援にはつながりにくくなる。そのため,就労支援者が停滞のサイクルにとどまり続け,不全感や不安感が強くなりすぎてしまうことがないよう,利用者を捉えるためのヒントとなる医療的な視点を提供しながら,一緒に考えていく看護職者の存在が必要になってくると考えられた。職業指導員,生活支援員の結果の統合・精査を進め,農福“医”連携モデル(案)の検討・構築につなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い遅延していた就労継続支援B型事業所の就労支援者へのインタビューデータの分析を実施し、その結果から農福連携の場における看護職者の在り方について検討を行った。令和5年度まで補助事業期間を1年延長申請し、各専門職者での農福“医”連携モデル(案)の検討・構築に取り掛かる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
農福連携に携わる就労継続支援B型事業所の就労支援者へのインタビューデータの分析を実施し、その結果から農福連携の場における看護職者の在り方について検討を行った。令和5年度は、オンライン会議なども有効に用いながら、各専門職者での農福“医”連携モデル(案)の検討・構築を行っていく予定である。そして学会発表、学術誌への投稿準備を進め公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症拡大に伴い、令和2~4年度に実施予定であった研究実施にやや遅れが出ており、令和5年度まで補助事業期間を1年延長申請している。令和5年度は速やかに研究計画に沿って計画を遂行する。各専門職者でのモデル(案)検討に伴い発生する謝金、学会参加費を中心に研究費を使用する予定である。
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