1.うつ病を有する医療系大学学生を対象とした修学支援策の考案:医療系大学在学中にうつ病を発症しながらも修学を継続することのできた卒業生6名を対象にインタビュー調査を実施した。その結果、システムとしての家族からは生計を維持するためのサポートや、病状に左右されない家族の関係性がサポートとして存在していた。またうつ病を有する医療系大学学生が認識した修学を継続するための有用なサポートは、家族からのサポートだけでなく、[大学]、[医療]、[友人]といった4つのリソースから複数のサポートが得られたことにより、うつ病を有する医療系大学学生のもつレジリエンスが引き出され、病状をコントロールしながら大学生活を継続し、卒業することができていたと考えられた。したがってうつ病を有する医療系大学学生を対象とした修学支援システムを考案する上で家族システムだけでなく、大学内の教員・学生相談室と医療の連携に加え、身近な友人からのサポートを含めた修学支援策を考案する必要性が示唆された。 2.大学教職員を対象とした研修会の開催:学内における学術セミナーのひとつとして開催し、参加者は31名と後日視聴者6名の計37名であった。参加者による評価は良好であり、うつ病を有する学生の実態や修学支援の内容についての理解が深まったことや、学生とのかかわり方を考える際の参考になったと回答していた。その一方で増加傾向にある精神的な課題を抱えた学生を支援していくためには、サポートする側に心の余裕が必要であるという意見が出されていたことから、うつ病を含む精神的な課題を抱えた学生を対象とした修学支援を検討する上で、支援者支援も必要であると考えられた。
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