研究課題
本研究は、本研究はICU入室した敗血症患者の腹部CT画像を用いてSMIを計測し、SMIがICU-AW発症の予測に対する有効性を明らかにすることで、ICU在室中に鎮静・脳症・せん妄などの状態であっても早期にICU-AWの診断を可能にすることを目的としている。ICU-AWの診断には四肢の筋力評価(MRC)スコアが用いられ、MRCスコア合計60満点中、48点未満がICU-AWと定義されている。しかし、ICU在室中の敗血症患者は鎮静・脳症・せん妄などの状態であることが多く、筋力評価に支障をきたす多くの因子が存在するため、MRCスコアを用いてICU-AWの診断を正確に行うことが困難となることも多い。現在、骨格筋の変化を評価するために、CT画像を使用した筋肉断面積の定量的評価が可能になっている。この評価では、第3腰椎での骨格筋の断面積(cm2)を患者の身長の2乗(m2)で割ることにより、SMI(cm2 / m2)を計測するこができる。我々は、対象患者をMRCスコアが合計48点以下群(AW)と49点以上群(NAW)に分け検討を行った。年齢、性別、基礎疾患、BMI、APACHE IIスコア、Barthel index、SMIなどのICU入院時の因子を2群間で比較した。結果として、対象症例は合計31例であり、AW群23例、NAW群は8例であった。年齢、BMI、APACHE IIスコアおよびBarthel indexの2群間に有意な差はなかったが、性別はAW群において有意な差を認めた。 SMIはNAW群と比較してAW群で有意に低かった。ROC解析の結果、ICU AWを予測するSMIのカットオフ値は44.1であった。
2: おおむね順調に進展している
本年度は予定に沿って、ICU-AWの早期予測を行うため、後方視的研究を行った。調査で得られたデータを国内外の学会および国外雑誌への掲載ができたことは、予定以上に研究を進められたものと考えている。
昨年度の調査では症例数が少なかったため、他施設での研究を行い症例数を増やし調査を継続していく予定である。
昨年度、2本目の国外雑誌への投稿が間に合わな買ったため、次年度使用額が生じている。そのため、研究成果を国外雑誌へ投稿するため、本年度に計上している。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Journal of clinical medicine research
巻: 11 ページ: 834 -841
10.14740/jocmr4027