ICU-acquired weakness(以下ICU-AW)は骨格筋の減少を呈しADLおよびQOLの低下を来す病態であり、その早期発見はICU患者の骨格筋減少を予防するために重要である。今回、ICU入室敗血症患者について、骨格筋量低下を特徴とするサルコペニアの評価に用いられている骨格筋指数(以下SMI、cm2/m2)を計測し、SMIがICU-AW発祥の予測に有効かどうかを後方視的に検討した。2012年ー2017年の期間にICUで敗血症の治療を行った患者を対象とし、ICU退室時の四肢の筋力評価(以下MRC)スコアが48点以下群(Aw)と49点以上群(N)に分けた。2群間でICU入室時の臨床的因子(年齢、性別、基礎疾患、BMI、APACHE IIスコア、Barthel index、SMI)を比較した。統計学的検討はFisher正確検定、Mann-Whitney U検定、Wilcoxon符号付順位和検定を用い、さらに2群間比較で有意差を認めた項目についてロジスティック回帰分析、ROC解析を行い、P<0.05を有意差とした。対象症例は31例であり、Aw群23例、N群は8例であった。年齢、BMI、APACHE IIスコアおよびBarthel indexの2群間で有意な差を認めなかったが、性別ではAw群で女性の割合が有意に高かった(P <0.05)。 SMIはN群と比較してAw群で有意に低値を呈した(P <0.05)。ROC解析では、ICU-AWの有無におけるSMIのカットオフ値は44.1であり、多変量解析ではSMIはICU-AWを予測する独立した因子であった(P <0.05)。ICU入院時のSMI値は敗血症患者のICU-AW発症を予測するための有効な指標である。
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