本研究は、妊娠初期健診の子宮頸がん検診にて前がん病変と診断された女性の産後の受診行動を支える看護支援モデルを開発することである。産後の継続した受診を支えることは、子宮頸がんの早期発見、早期治療を目指すだけでなく、子育て期にある母子への心身のケアや育児サポートなどの支援体制を検討する一助となる。子宮頸がんはHPVが罹患原因の一つであることから、スティグマを生じさせることが研究者らの先行研究で明らかになっている。スティグマは他者との関係や生活へ影響を与えるだけでなく、受診を妨げる要因となる。産後の女性の受診行動を支える上では、子宮頸部前がん病変と診断された女性のスティグマを低減するための看護支援が求められる。 そこで、研究1では子宮頸部前がん病変と診断された女性のスティグマ体験を明らかにした。さらに、がん患者およびHPV感染者のスティグマ体験に関するスコーピングレビューより、子宮頸部前がん病変と診断された女性のスティグマ体験の概念化を行い、看護支援モデル(原案)を作成した。 研究2では看護支援モデル(原案)について専門家による内容妥当性の評価を行った。具体的で必要性の高い看護支援とするため、専門家には子宮頸部前がん病変と診断された女性を含めた。各支援内容の重要性、関連性、明確性を評価するとともに、具体的な支援内容について意見収集を行い看護支援モデル(修正版)の作成を行った。研究2で得られた成果と文献検討を統合し看護支援モデルの開発を行った。 その結果、「診断結果を受け入れ、これまでの経験の意味を見出すきっかけを得ることができる」、「相談できる他者の存在を認知し、体験を共有することで安寧をえることができると認識する」、「早期発見、早期治療に向けて受診を継続する必要性を認識する」という3つの目標に向かって支援することが示された。
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