研究実績の概要 |
本研究の目的は、食事摂取に必要な箸操作の獲得に向けた非利き手の箸操作練習の効果と、非利き手での実用的な食事摂取に必要な箸操作の能力水準およびその獲得に必要な練習期間を明らかにすることである。 地域在住の成人を対象に、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を2週間行い、その実食の感想を自覚的な訴えとして記録を依頼した。また練習前後で筋力、手指の巧緻性、疑似食材を用いた非利き手での箸操作能力と筋活動、実食を用いた非利き手での箸操作能力を評価した。 現在まで、地域在住の65歳以上の健常者12名と65歳未満10名の22名のデータが収集できた。データ集できた全対象者が、毎日の1食を非利き手で箸を操作して摂食する練習を実行し,その記録ができた。非利き手で箸を操作しての食事の満足度は,65歳以上の者12名中8名で向上し,食事の疲労度は9名で減少した.非利き手で箸操作をしての食事の困難度は11名で減少し,食事に要する時間は有意に短縮された.65歳未満の者では、食事の満足度は10名中9名で向上し,食事の疲労度と困難度はいずれも9名で減少した。食事に要する時間は全員で短縮した.改善した者の割合は、65歳以上の者と未満の者の間で有意差はなかった。介入前後の身体運動機能は,多くの項目で変化がなかった. 実食練習中の自覚的な訴えは、65歳以上では痛みや攣る感じなどの身体的苦痛を訴えた者が7名、イライラといった精神的苦痛を訴えた者が3名であった。65歳未満の者では身体的苦痛を訴えた者が6名、精神的苦痛を訴えた者が4名であった。
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