非利き手での箸操作練習の目的は、日常生活でその手で箸を使って食事をする能力を獲得することである。しかしながら、非利き手での箸操作練習が実際の食事の実践力に効果があるかは不明である。本研究では、非利き手の箸操作練習が、食事摂取に必要な箸操作の獲得ができるか、また非利き手での実用的な食事摂取に必要な箸操作の能力水準およびその獲得に必要な練習期間を明らかにすることを目的とした。 2022年度は、2021年度までに得られた地域在住の65歳以上および65歳未満のデータの分析を行い、本研究のデータをまとめた。全対象者が右利きであった。 介入内容は、2週間、自宅で1日1食以上、左手で箸を使って食事をすることであった。食事は、介入前後で左手で箸を使って食事をする際の自覚的感覚と、食事の所要時間を比較することで評価した。また左手で箸を使い、1分間で2つのお椀の間を移動したプラスチック片の数と自覚的感覚を評価した。 その結果、介入後は実食時の自覚的感覚の改善がみられた。また食事の所要時間は短縮した。1分間に移動したプラスチック片の数の増加がみられた。実食練習中には、イライラするや肩がこるなど精神的および身体的に不快を訴える者がいた。 これらの結果は、非利き手で箸を使って摂食する2週間の食事練習は、高齢者と若年者において、非利き手で箸を操作しての食事の状態を改善する可能性を示すものと考えられた。今後は、精神的および身体的な不快感を軽減して行える非利き手での箸操作練習方法の立案が必要である。
|