研究実績の概要 |
本研究の目的は,看護職の禁煙支援の現状を明らかにし,効果的なサポートツールを開発することである。本年度は,これまで行った看護師対象の禁煙支援セミナーの効果評価から,効果的な禁煙支援ツールとしてセミナーのあり方を考察した。加えて,実施したセミナーの内容を参考に,サポートツールとして,禁煙支援のホームページの作成を行った。 日本の禁煙支援に携わる看護師289名に禁煙支援セミナーを行った。その前,後,3カ月後の禁煙支援の実施状況および認知面について現状とその要因に分けて分析した。 対象者の年齢は50歳以上が179名62.1%であった。学歴は専門学校卒が最も多く206名71.3%であった。看護師経験年数は平均21年であった。禁煙支援の5Aの実施率は,セミナー実施前と3カ月後では,AssessとAssistで実施率が上昇した(必ず行う,だいたい行うと回答した者の割合;Assess:セミナー前35.8%,3カ月後47.8%(p<0.001), Assist:セミナー前19.4%, 3カ月後27.0%(p<0.001)。)また禁煙支援の自信は,統計学的有意にセミナー後に上昇し,3カ月後もセミナー前に比べて有意な上昇がみられた。Assess, Assistの実施を従属変数とし,交絡因子を調整した上でロジスティック回帰分析を行った。セミナー後に禁煙支援の価値が高まったと回答した者は禁煙支援の実施率が高かった(Assess: OR:3.05, 95%CI: 1.17-7.96, Assist: OR: 3.54 95% CI: 1.18-10.59)。この結果から,禁煙支援のセミナーは認知面にも行動面にも効果があり,その効果は3カ月後も継続したことが明らかになった。禁煙支援の実施率向上には,禁煙支援の価値を伝えることが重要と示唆された。これらを踏まえて,禁煙支援に役立つホームページの作成を行った。
|