本研究は、それまでは主観的評価になりがちであった精神機能を簡便かつ即時的に、かつ包括的に計測することを可能にした臺式簡易客観的精神指標(Utena’sBrief Objective Measures of 4 Axes for Psychic Function and Energy ; UBOM-4 以下UBOM)に着目し、①一般人における精神機能の定量指標基準値を示すこと。②精神機能と生活習慣、精神的健康度との関連を検証することを目的に調査を開始した。 研究対象者は、生産年齢人口にあたる20歳から65歳までの男女とし、機縁法にて対象者を募った。測定は、圧負荷脈拍数(PRD)、物差し落下テスト(RCT)、乱数生成時間(MRT)、乱数自由度(DOR)及びバウム画と健康度・生活習慣診断検査(Diagnostic Inventory of Health and Life Habit;DIHAL.2)を測定し、記述統計、および統計的手法を用いて変数間の関連、有意差の検討を行った。 欠損を除く20名のUBOMデータは、PRD:1.20±3.33回、RCT:18.59±3.68㎝、MRT:0.50±0.26秒、DOR:0.99±0.14であり、先行研究のUBOMデータと比較したところ、概ね先行研究と類似した結果が得られた。また、RCTと運動習慣( ρ= -.576** )、MRTと精神的健康度(ρ= -.516* )に相関を認めた。RCTと運動習慣の相関より、RCTが“意”を表すという点が支持されるものであること、MRTと精神的健康度の相関より、課題処理能力の低下が精神的健康度の低下との関連を示唆することが考えられた。対象者数が少ないため、今後さらにデータを蓄積し、検討する必要がある。なお、本年度末にかけ、数名から研究協力が得られたため、データ分析の後、成果報告書にて報告する。
|