研究課題/領域番号 |
19K19584
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研究機関 | 一宮研伸大学 |
研究代表者 |
増永 悦子 一宮研伸大学, 看護学部, 准教授 (00465569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 終末期看護 / 訪問看護師 / ACP / 大学を拠点とした看看連携 / 緩和ケアネットワークモデル |
研究実績の概要 |
1.前年度に選定した共通の地域特性を有するX地区の2つの訪問看護ステーション(以下、訪問看護ST)に所属の訪問看護師5名の面接データを、スーパーバイザーの研究者らに相談し分析を進めた。その結果「終末期看護に関する価値観を支えるもの」「在宅における終末期医療の課題」「忘れ難い終末期患者・家族」の3つの課題で構成されることを解明した。そして3つの課題の一つの「在宅における終末期医療の課題」で「在宅での終末期の意思決定支援」が看護師5名に共通して見出された。そこで先ず研究参加者全員に共通して見出された「在宅での終末期の意思決定支援」の語りに焦点をあてて、研究参加者毎にSCATで分析した。その結果、次の4つのテーマ、すなわち「訪問看護師が満足感をもつアドバンスケアプランニング(以下ACP)のプロセス」「ACPに関連する訪問看護師の葛藤」「ACPに関連する地域の課題」「ACPに携わる訪問看護師へのグリーフケア」が浮かび上がった。研究結果から抽出した課題、すなわち、ACPに関する看護師の課題と担当地域固有の地域特性とその課題について、その関連性をさらに検討する必要性を確認した。 2.今年度も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を考慮した感染対策やWEB等を用いた方法が必要で、特にスーパーバイザーの研究者らとの相談時や研究参加者へのフォローアップインタビューの為の方法の検討が必要だった。これらの人達とのWEBを含めたICT環境を把握し、それに対応できる研究者のICT環境を一部整えた。 3.感染症対策の下で研究参加者の所属の訪問看護ST主催の地域住民や利用者・家族が参加のイベントに担当者として参加し、研究対象のX地区の地域特性や訪問看護師に関わる課題を検討した。 4.研究課題の関連学会に参加し、ACPの課題の中でも特に在宅や訪問看護師に関する発表等に参加して面接データの分析に生かした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響下にあり、特にスーパーバイザーの研究者らとの相談時や、研究参加者へのフォローアップインタビュー時には、感染対策やWEB等を用いた方法が必要だった。スーパーバイザー及び研究参加者のICT環境を把握して、それに対応できる研究者のICT環境を一部整えて研究を進めた。昨年度に選定した研究参加者の面接データの分析を進めた結果、3つの課題で構成されることを解明した。今年度は、その中でも研究参加者全員に共通に抽出した「在宅での終末期の意思決定支援」の語りに焦点をあてて分析を行い、研究成果を学会で発表した。その際には、研究課題に関連する学会に参加し、アドバンスケアプランニング(以下ACP)の課題の中でも、特に在宅や訪問看護師に関する発表などに参加して面接データの分析に生かしていった。研究結果からは、ACPに関する看護師の課題と担当地域固有の地域特性とその課題の関連性を、さらに検討する必要性がわかった。そこで、担当地域や訪問看護師の活動の理解のために、地域住民や訪問看護の利用者・家族が参加するイベントに担当者として参加した。このイベントに参加し得られた情報や観察して得た情報を整理し、論文化の際のデータ分析に生かしていく。また、面接データの分析結果で得られた3つの課題で、残された2つの課題についても、今後、分析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響が予測される為、研究を進めるうえで必要な感染対策やWEB等を用いた対応が必要であり、感染対策を基にした研究の継続を講じる必要がある。今年度は、面接データの分析結果から3つの課題を得て、研究参加者全員に共通に抽出した課題を中心に分析結果をまとめて学会発表を行った。今後は、まず、学会発表した研究成果を論文にまとめて学術誌などへの投稿を目指す。その際には、研究参加者が所属する訪問看護ステーション(以下、訪問看護ST)主催のイベントで得た情報を生かしてデータ分析を進める。また、次年度以降も、前述したイベントに参加し、研究対象のX地区の地域特性や訪問看護師に関わる課題を検討する。さらに、面接データの分析結果で得られた3つの課題で、残された2つの課題についても分析を進めて、3つの課題の関連や研究対象のX地区の地域特性、訪問看護師に関わる課題を検討する。そして、これらの研究成果を関連学会で発表し、学術誌などへの論文投稿を目指す。さらに、研究参加者が所属する訪問看護ST主催の地域に密着したイベントの参加や、データ分析の知見を通して、大学を拠点とした地域基盤の看看連携による緩和ケアネットワークモデル案の作成を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響が予測される為、研究を進めるうえで必要な感染対策やWEB等を用いた対応が必要であり、感染対策を基にした研究の継続を講じる必要性が予測される。その為に、年度内の機器等の購入を最低限にして、次年度以降での使用を必要とした。令和4年度は、研究参加者のフォローアップ面接や、緩和ケアネットワークモデルの構築の整備に向けた機器購入、関連文献の収集と整理、国内外での学会や研究会等への参加(発表を含む)や情報収集、スーパーバイザーとの打ち合わせ、共同研究者との打ち合わせと学術誌などへの論文投稿を進めていく。さらに、昨年度は、研究参加者が所属する訪問看護ST主催の地域に密着したイベントに参加し、研究対象のX地区の地域特性、訪問看護師に関わる課題の検討ができた。次年度も、前述したイベントの参加を継続し、研究対象のX地区の地域特性、訪問看護師に関わる課題の検討に生かす。さらに、次年度以降に開発予定の「大学を拠点とした地域基盤の看看連携による緩和ケアネットワークモデル案(以下、モデル案)」の作成においても、感染症対策を考慮したモデル案の作成が必要であり、次年度以降での使用のために、年度内の購入を最低限とした。
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