最終年度となる2023年度は、前年度までにデータ収集・分析を行った小児科で働く看護師の8名を対象に、1型糖尿病の子どもに対する療養支援における困難と支援の工夫について質的に分析を実施した。その結果、10カテゴリーが抽出された。【子どもの気持ちに寄り添った関係づくり】【療養管理に親を巻き込む】【受診時間を活用して療養状況や穿刺部位を確認する】【ケアの質の担保ができる工夫をめざす】など子どもの発達に応じて親と子どもの指導主体をアセスメントし支援の割合を変化させる工夫を実践していた。困難については【年少患児の体型や認知力による支援】【子どもへの支援を行う上での親への対応】【思春期の特有の難しさがある患者への支援や関わり】【看護師の支援時間が取り辛い】【1型糖尿病の専門知識を持つ看護師が少ないことで看護の質の担保が難しい】など子どもの主体性や成長過程や発達を尊重するあまり腹部の観察を十分実施できていないことや外来での支援時間が取れないことに困難さを感じていた。また、前記研究結果において外来時のインスリン注射指導方法に困難を生じていたため、インスリン自己注射に伴う事柄と血糖コントロールの関連についての文献研究を実施した。その結果、穿刺部位と疼痛の関連性や疼痛と出血の関連、皮下腫瘤とHbA1Cとの関連などが示された。また、皮下腫瘤のある患者にサイトローテーションの再指導をすることで、低血糖頻度が有意に高くなるとともに、皮下腫瘤蝕知群のHbA1Cが有意に低下していたことも明らかとなった。 計画では、これらの結果を踏まえ外来における支援モデルの構築を目標としていたが、研究者の移動による研究フィールドの開拓および倫理審査委員会への登録などに遅れが生じ、調査および計画が大幅に遅延しているため、継続して研究を実施している。
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