研究課題/領域番号 |
19K19590
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
大串 晃弘 四国大学, 看護学部, 講師 (80788878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 急性冠症候群 / 患者教育 / 救急医療 / 早期受診 / 受療行動 |
研究実績の概要 |
2021年度は2020年度に引き続き、心筋梗塞患者の受診までの行動や心理的変化に関するインタビュー調査を継続した。心筋梗塞患者の多くは入院前から異常な症状を体験していたが、安静などにより症状が軽減する経験から受療行動に至っていない患者が多かった。そのため、発症当日も症状が軽減すると考え経過観察を行っていたが、徐々に症状が増強し耐えられなくなる、もしくは不安感が強くなることで医療機関の受診が必要であると判断していることが明らかとなった。新型コロナウイルスの影響で、データ収集の開始時期が遅くなっていたが、インタビューデータを蓄積することで徐々に内容が飽和状態となってきたためデータ収集の終了を検討している。 2021年度は、第23回日本救急看護学会学術集会にて「急性冠症候群の発症から受診までのプロセス―早期受診を促す教育プログラムの構築を目指して―」というテーマで発表を行い、参加者と意見交換を行った。インタビューデータも蓄積されつつあるため、論文化を進めていく。心筋梗塞の臨床データを用いた研究は解析と論文化が終了し、専門誌にも掲載された。国内においては高齢者、糖尿病、夜間発症が受診遅延と関連していることが明らかとなった。これらの結果は海外の状況と大きく変わらないが、医療システムの違いを考慮すると、国内の患者の受診が遅れる原因は複雑な構造であると考えられた。今後は、このような患者がなぜ受診が遅れるかをインタビュー調査のデータを用いて質的に明らかにしていく。また、海外の先行研究では、心筋梗塞患者の早期受診を目的とした介入研究がすでに行われておりエビデンスも蓄積されつつある。それらの結果を踏まえて国内での教育プログラムを検討していく必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響でインタビュー調査の開始時期が遅れた。また、研究対象施設である医療機関の研究協力者への負担も考慮して研究を進めているため、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューデータの内容が飽和しつつあるため、インタビュー調査の終了を検討していく。また、2022年10月には第19回日本循環器看護学会学術集会で、日本糖尿病教育・看護学会との共同セッションにてこれまでの研究成果を発表する予定となっているため、広く意見交換を行う。2022年度は学会発表や論文化などを中心に行い、並行して専門家と交流することで教育プログラムの構築を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で学術集会の参加に必要な旅費が不要となったため、当初の計画より研究費に残額が生じている。次年度は旅費が必要になると予測されるが、予定している費用よりは少なくなると考えられる。そのため、研究の継続および次の研究へと発展させることを念頭に置きながら、研究費を計画的に使用していく。
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