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2019 年度 実施状況報告書

小児がん患児と家族を対象とした抗がん剤(CPM)曝露の実態調査

研究課題

研究課題/領域番号 19K19594
研究機関福岡看護大学

研究代表者

野田 優子  福岡看護大学, 看護学部, 助手 (60824513)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード抗がん剤曝露 / 小児がん患児家族 / 体液・排泄物
研究実績の概要

抗がん剤は抗腫瘍効果を有する一方で、催奇形性、生殖毒性、発がん性などが知られている。近年、抗がん剤を取り扱う医療従事者への抗がん剤曝露が問題となっており、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会および日本臨床腫瘍薬学会合同の職業性曝露対策ガイドラインが策定され、職業性曝露対策は確立されつつある。抗がん剤は投与された患者の尿だけでなく、汗、唾液、乳汁、髄液などあらゆる体液・排泄物から排泄されることが知られている。小児がん領域では、固形腫瘍、血液腫瘍共に揮発性薬剤である大量シクロホスファミド(以下)CPM投与が標準的に、繰り返して、なされている。家族は患児と密接に接しているため、抗がん剤を取り扱う医療者に比して、体液や排泄物を介して抗がん剤曝露の影響を受ける可能性が高いことが予想される。小児がん患児の入院加療においては、日常的に患児家族が付き添い生活援助が行われているが、家族への曝露の実態は明らかではない。結果、乳幼児家族の尿および学童・思春期家族からの尿からCPMが検出され、学童・思春期家族に比し、投与絶対量が少ないはずの幼児家族への曝露量が有意に多かった。さらに、患児沐浴後のお湯をはじめ、肌着、シーツからもCPMが検出され、患児体液、排泄物を介した曝露が明らかとなった。しかし、これらは、1ポイントのみ調査であったため、曝露経路や時間など詳細は明らかにはならなかった。そこで、今回小児がん患児の家族に対する抗がん剤曝露回避ガイドライン作成を目的とし、家族への抗がん剤曝露や曝露し得る要因を明らかにするために、大量シクロホスファミド(CPM)投与を受けた患児の家族を対象に調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小児がん領域では、固形腫瘍、血液腫瘍共に揮発性薬剤である大量CPM投与が標準的に、繰り返して、なされている。家族は患児と濃厚に接しているため、抗がん剤を取り扱う医療者に比して、体液や排泄物を介して抗がん剤曝露の影響を受ける可能性が高いことが予想される。今回小児がん患児の家族に対する抗がん剤曝露回避ガイドライン策定を目的とし、家族への抗がん剤曝露や曝露し得る要因を明らかにするために、大量シクロホスファミド(CPM)投与を受けた患児の家族を対象に調査を実施している。2019年9月に倫理審査委員より承認が得られ、患児家族の入院中における日常生活行動(患児に行っているケアや個人防護具着用状況)を把握するため、5名の患児家族を対象にプレ調査を実施した。プレ調査の結果をもとに、採取サンプルを検討し、2020年1月より本調査開始となった。2020年4月時点で12名の対象者をエントリーしている。当初、対象者を30名予定していたが、より詳細に調査を行う上で、採取サンプル数や項目を増やす必要があると判断し、目標症例数を減らし調査を進めている。

今後の研究の推進方策

小児がん領域に特化したガイドライン策定のために、家族の曝露だけでなく、家族が曝露し得る状況を知る必要がある。2020年度に、家族への抗がん剤曝露量、曝露量の推移を調査していく。また、曝露経路については、環境調査と併せて患児と家族の関わりについて詳細に聞き取りを行い、曝露の実態を継続して調査していく。家族が患児の体液、排泄物取り扱い時に必要な対策を検討するために、環境調査を行い曝露経路を明らかにする。調査は2020年7月までに終了し、9月よりデータ分析を行う。その際、家族が患児の体液・排泄物の取り扱う際や、スキンシップおよび抱っこを行う際に、家族の曝露を軽減するべく必要な対策ついて検討し、論文投稿に向けて準備を行う。2019年1月~4月まで調査した結果については、小児がん看護学会にて途中経過を発表予定である。

次年度使用額が生じた理由

患児の家族は、排泄・清潔・食事ケアのみならず乳幼児においては抱っこなどのスキンシップの機会が多いにも関わらず、先行研究においては、抗がん剤投与を受けている患者との皮膚接触時をはじめとする、代謝物を介した曝露の詳細が明らかになっていない。家族が曝露し得る状況を明らかにするために、採取項目を増やす必要があると考えた。CPMの排泄期間は48時間とされているため、排泄ケアおよび口腔ケア時に家族が使用したガウン、手袋を3日間採取することとした。また、患者の呼気からもCPMが排泄されることから、患児と密接に過ごす家族は、吸入による曝露の可能性も考えられるため、マスク調査を3日間実施することとした。

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公開日: 2021-01-27  

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