超高齢社会の進展に伴い我が国では慢性心不全患者が急激に増加している。一般的に、慢性心不全患者は、入院を繰り返すことで様々な生活上の制限を受け身体的・精神的健康が徐々に低下していく。一方、多くの先行研究にて慢性心不全患者において、睡眠呼吸障害が頻繁にみられることが報告されている。そのため、慢性心不全患者における睡眠呼吸障害の管理や看護ケアは重要な意味を持つ。しかしながら、現在、睡眠呼吸障害を有する慢性心不全における有用な看護ケアは確立されていない。特に、心機能が保たれた心不全患者において、睡眠呼吸障害による悪影響は、未だ不明な部分が多く検討する余地がある。更に、今後本邦において、高齢化が進むことにより心機能が保たれた心不全患者が急増することが予測されている。以上のことから、本研究においても、心機能が保たれた心不全患者 において、睡眠呼吸障害による生活の質(Quality of life; QOL)への悪影響を検討した。当初予定していた心不全患者数に達した。結果としては、心機能が保たれた心不全患者において、睡眠呼吸障害によるQOL悪化に影響する要因は、1時間当たりの無呼吸や低呼吸の回数を示す無呼吸低呼吸指数(Apnea hypopnea index; AHI)ではないことが明らかになった。一方、睡眠呼吸障害による低酸素血症の重症度を示す最低SpO2は、精神的なQOLに関連していることが明らかになった。本結果を英文論文へまとめ投稿した。投稿された論文は、現在査読中である。
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