本研究は、造血幹細胞移植受療患者の臨終期における看護実践モデルの構築を目指すものである。2019年度から2020年度には造血幹細胞移植に携わる看護師へのインタビュー調査を行い、臨終期における具体的な看護実践を明らかにした。また、インタビュー調査で明らかになった看護実践の内容を基に質問紙を作成し、2020年度から2021年度にかけて全国の造血幹細胞移植にかかわる看護師を対象に質問紙調査を行った。質問紙調査の結果は記述統計と因子分析を用いてその内容を検討し、造血幹細胞移植受療患者の臨終期における看護実践の構造を検討した。その結果、造血幹細胞移植受療患者の臨終期における看護実践は、臨終期の患者がその人らしく最期まで生きることを支えるという患者への支援、治療期と終末期の狭間で揺れ動く患者に寄り添い続け、家族としての役割を全うできるように支える家族への支援、さらにその患者・家族を支える多職種から成る医療チームが最大効果を発揮できるよう、価値観を共有し連携するための調整役割という3つの因子構造で成り立つことが明らかになった。
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