研究課題/領域番号 |
19K19604
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
村方 多鶴子 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (70264314)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 新任スタッフ / 精神科訪問看護 / 育成プログラム / 管理者 / サポート |
研究実績の概要 |
高齢者や身体疾患をもつ利用者を主な対象とする訪問看護ステーション(以下ST)では、訪問看護師の確保と育成のために、日本看護協会や全国訪問看護事業協会などが連携し、新卒訪問看護師育成プログラムを開発し活用している。プログラムがあるSTの離職率は低い。しかしこのプログラムには、訪問看護全般に関する内容の記載はあるものの、精神科に特有な内容は乏しい。そこで本研究では、精神科訪問看護の新任育成プログラム開発の基礎資料とするために、精神障害者を主な対象とする(以下精神科)STにおける、新任スタッフに対する管理者のサポート内容を明らかにすることを目的とした。研究協力者の条件は、精神科病棟・精神科ST管理経験が共に3年以上の看護師とした。インタビューガイドに基づいて、2年以上教育に関わった新人の状況と実施したサポート内容などについて2020年2月に半構成的面接を実施した。インタビューはICレコーダーに録音し、データを質的に分析し、管理者の思いやサポート内容などを明らかにした。 研究協力者3名の年代は40代2名、50代1名で、精神科訪問看護の経験は8~10年であった。研究協力者が関わった新任スタッフ3名の年代は40代2名、50代1名で、入職前の専門職経験年数は2年未満が2人で、精神科経験がない者も1名いた。管理者は新任スタッフが早く訪問看護に慣れるように、また「辞めないでほしい」という思いから、新任スタッフの個別性に合わせて丁寧なサポートを行っていた。新任スタッフは経験を積み重ねて一人でできることが増える一方、管理者が期待するほど成長しない面も持ち合わせていた。成長のペースは人によりかなりばらつきがあったため、管理者は新任スタッフの反応を見てサポートのバランスをとっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年2月からインタビュー調査を開始したが、新型コロナウイルス (COVID-19) 感染症により、3月以降に予定していたインタビューは延期となり、まだ日程を組むことができない状況である。 訪問看護ステーションにおいては、スタッフだけでなく管理者も各家庭を訪問する。そのため、研究者が媒介となり、管理者に感染をさせてしまうと、ステーションのスタッフや利用者にも感染のリスクが増えることになり、業務に支障をきたしてしまう。よって、COVID-19感染症がある程度収束を迎えるまで、インタビューは差し控えている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染者が少ない県では緊急事態宣言緩和の兆しがあるため、状況に応じて、危険が少ない地域のステーションにインタビューの依頼を行う。対象施設から研究の承諾が得られれば、危険が及ばないように十分配慮して、インタビューを実施する。緊急事態宣言が解除されれば、当初予定していた施設に再依頼する。 もし、このまま緊急事態宣言の延長が継続される場合は、Microsoft Teamsなどを利用したインタヴュー方法に変更するなどの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定していたインタビュー調査が、COVID-19のために急遽延期となった。そのため、その調査に計上していた経費(交通費、謝礼、インタビュー結果の逐語録作成等)を次年度に繰り越すこととなった。
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