本研究の目的は、看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援の内容を明らかにすること、及び療養支援の実施に影響を及ぼす構造を分析し、肝疾患患者に対する外来看護支援モデルを構築することである。2019年度は、研究目標①である、肝疾患看護に携わる外来看護師を対象とした面接調査により、看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援の内容の解明を行った。4都道府県の7施設に勤務する8名の看護師を対象に半構造化面接法による調査を実施した。データ分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。分析の結果、27の〈概念〉と8の【カテゴリ】が形成された。療養中の肝疾患患者に対する外来看護支援内容は、〈定期検査の必要性の説明と中断者への状況を配慮した受診勧奨〉などの【治療中断の回避支援】、〈IFNフリー治療導入時に見通しを説明し自己管理を促す支援を行う〉などの【自己管理教育】、〈患者のADL低下を予測し家族やMSWと連携し支援体制を整える〉などの【社会資源への橋渡し】、〈医療チームの連携により肝炎ウイルス陽性者を掘り起こし治療へ繋げる働きかけ〉などの【受療勧奨】、〈患者の苦しい思いを傾聴しながら寄り添える言葉かけを行う〉などの【傾聴】、〈患者と医師の間を取り持ち、患者の代弁や疑問の解決、理解の促進を行う〉などの【治療理解の促進】、〈外来における看護過程の展開〉などの【患者像を捉えた個別介入】、〈相談窓口の名刺を渡し相談対応を行う〉などの【相談支援】が明らかになった。研究成果は、日本看護研究学会第45回学術集会で発表を行った。
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