研究課題/領域番号 |
19K19608
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
高比良 祥子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (40326484)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝疾患 / 外来 / 看護師 / 療養支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援の内容を明らかにすること,および療養支援の実施に影響を及ぼす構造を分析し,肝疾患患者に対する外来看護モデルを構築することである。2020年度は,肝疾患外来の経験と実績のある熟練看護師8名に半構造化面接を実施し,質的統合法(KJ法)を用いて分析した.質的統合法(KJ法)の指導資格をもつ研究者のスーパーバイズを受け信用性の確保に努めた.個別分析の結果を紹介する.対象者A氏は40歳代女性,看護師経験年数27年,肝疾患外来経験年数5年であった.A氏の85枚の元ラベルより6段階目までグループ編成し,6枚の最終ラベルを用いて図解と叙述化を行った.その結果,熟練看護師A氏は,肝疾患患者への外来ケアの主軸は患者像を掴むコミュニケーションとコーチングと捉えていた.これを踏まえて,外来におけるケア程度の査定つまり,患者の症状・治療に応じた関わりを行い,その上で,外来におけるケア範囲の査定つまり,他職種を患者ケアへ巻き込む働きかけを行っていた.このようなケアの主軸を基盤として,きめ細やかな関わりによる安心感の保証というケアの責任を果たしていた.さらに,これを踏まえて,肝炎治療終了者には脂肪肝予防の声かけと受診勧奨,肝炎未受診者には患者の発信力に期待した受療勧奨という両側面からの予防活動を展開していた.熟練看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援は、コミュニケーションにより患者像を掴み、患者ケアの程度や範囲を査定しながら、きめ細やかな関わりによる安心感の保証であった。また、肝炎治療終了者や肝炎ウイルス検査陽性で未受診者への予防活動を意図的に展開していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1段階として、肝疾患看護に携わる外来看護師を対象とした面接調査を行い分析を終了した。看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援のあり様を明らかにすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
第2段階として、これまでの研究成果にもとづき、日本肝臓学会肝臓専門医が所属し肝疾患の専門治療を行う施設を対象とした質問紙調査を行う。調査により看護師が外来で行う肝疾患患者への療養支援の実施率と実施に影響を及ぼす構造を分析し、肝疾患患者に対する外来看護モデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため,学術集会がオンライン開催となり旅費の支出がなかった.また,質的統合法(KJ法)のスーパーバイズも,対面指導からオンライン指導へと変更し,旅費が不要となった.
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