研究課題/領域番号 |
19K19611
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
福田 大祐 常磐大学, 看護学部, 講師 (40777546)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 慢性期 / 実行機能 / 介入プログラム |
研究実績の概要 |
統合失調症の病態生理として前頭葉の活性減退が要因となって実行機能障害が現れ、患者の社会機能の低下に大きな影響を与えることから、脳機能を理解した精神看護を提供していくことが重要な視点となっている。申請者のこれまでの調査では、慢性期統合失調症者の実行機能障害の特徴として、物事の手順や目標を達成するために必要なプランニング能力の障害が手段的ADLの低下に影響を与えていた。そこで本研究では、慢性期統合失調症者の実行機能を高める介入プログラムを作成し、その効果を検証することを目的とした。 2020年度の研究計画については、2019年度に作成を進めた実行機能を高める介入プログラムを実施することである。プログラムの構成として、実行機能を構成する4つの要素(①目標設定、②プランニング、③計画実行、④効果的行動)をもとに、全6ステップ、4回の介入を2週間で実施する内容として作成した。今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い臨地調査を実施することはできなかったが、介入をより短期間で効果的に実施できるようまた対象患者がより理解しやすいようプログラムの構成内容を再検討した。現在、対象者のリクルートを行っており、地域の感染状況に応じて慢性期統合失調症者の治療を専門としている精神科病院1施設にて調査を行う計画である。 本研究を実施する意義として、慢性期統合失調症者の脳機能の特徴として全般的な実行機能の障害が明らかにされており、看護職者は日常生活に支障を与える実行機能の特徴を理解した看護援助を行っていくことが必要になる。また、早期からの介入により実行機能を維持、向上できるような看護を提供することで、患者の地域での自立を支援する地域包括ケアの一環としての看護が実現できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究対象者のリクルート及び介入プログラムの構成内容の再検討を行った。慢性期統合失調症者の治療を専門としている精神科病院1施設にて、地域の新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着き次第、調査を実施する計画である。本研究については申請者の所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得ており、調査施設での調査実施の準備を進めている。臨地調査は2020年~2021年度の期間に実施する計画ではあるが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、調査施設での実施時期は調整中であり調査を行えていないことから、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の計画として、調査施設のグループホームに入所中の慢性期統合失調症者を対象に介入プログラムを実施する計画である。 調査施設にて研究倫理審査委員会の承認後、対象者のリクルートを速やかに行い、調査を行っていく。また、対象者を数例~10名程度確保し、介入プログラムの評価を行った段階で中間結果をまとめ、学会発表等にて研究結果を公表していく予定である。 2022年度の計画として、本研究の最終的な研究成果を国際学会・国際誌にて発表、投稿する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
・次年度使用額が生じた理由:研究協力施設での臨地調査や学会発表・論文投稿に係る経費を考えていたが、調査を実施することができなかったため。 ・翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:次年度使用額として臨地調査や学会発表・論文投稿の準備に係る経費として使用する計画である。
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