我が国の精神科における平均在院日数は、諸外国と比較し長期であることが指摘されている。近年、早期退院を中心に展開する方針が示されたが、その一方で短期間の入退院を繰り返す新たな課題が生じた。したがって、昨今では入退院を繰り返す精神障害者(以下、対象者)が地域での生活を継続するための支援が重要である。本研究は、2019年度から「入退院を繰り返す精神障害者が地域生活を継続する要因」というテーマで取り組んだ。尚、研究期間は、COVID-19の影響により、2022年度まで延長した。 初年度は、対象者の最新の知見を得ることを目的に、文献レビューを実施した。2年目以降は、対象者が地域生活を継続する上で、病との付き合い方や生活における工夫を明らかにすることを目的にインタビュー調査を実施した。インタビューの対象者は、過去に入退院を繰り返しており、現在は1年以上地域生活を継続している方を選定した。データを分析した結果、対象者は入退院を繰り返すたびに、症状や治療と向き合い症状の対処を模索していた。医療者と関係性を築きつつ、治療や症状との付き合い方を自己決定していた。また、地域生活を続ける中で、ご自身の興味を広げることや、他者との相互作用を得ることで、病以外に関心を広げていたことが示唆された。 本研究のインタビュー調査で得られた内容の一部は、EAFONS2022の示説で発表した。
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