研究課題/領域番号 |
19K19618
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
吉野 靖代 関東学院大学, 看護学部, 助教 (50806255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ICU退室後 / メンタルヘルス / ソーシャルサポート / 家族 |
研究実績の概要 |
【研究目的】ICUで治療を受ける重症患者の生存率は上昇している一方、ICUを退室した患者のQOLは低下していることが問題視されている。原因として、ICU退室後も持続する身体機能の低下、認知機能障害、PTSDやうつ症状といったメンタルヘルスの問題を持つことが挙げられている。海外では重症患者のみならず、その家族もメンタルヘルスに問題を抱えていることが明らかになっている。ICU退室後患者と家族のフォローアップのあり方や体制を構築していく必要がある。しかし、本邦においてICU退室後の患者とその家族 のメンタルヘルスに関する追跡調査は為されていない。本研究はICU退室後患者とその家族のメンタルヘルスの実態と、現在のQOLとの 関連を明らかにすることを目的とする。 【研究実施計画】本研究は《課題1》アセスメントツールの選定と前向き調査の準備《課題2》メンタルヘルスとQOLに関する前向き調査の実施を計画した。《課題2》はICUに入室した患者とその家族を対象に、ICU退室後のメンタルヘルスとQOLについて追跡調査を計画した。しかし、新型コロナウイルス感染症により、家族の面会制限が生じた。ICUに入室した患者の家族を対象とした調査が困難となったため、ICU退室後の患者の追跡調査がなされていない本邦の現状を踏まえ、ICU退室後患者における長期的メンタルヘルスの実態を調査し、関連因子に家族の影響を加えて検討をする計画へ変更とした。 【研究実績】《課題1》ツールの選定と前向き調査の準備は終了。《課題2》メンタルヘルスとQOLに関する前向き調査の実施は計画を一部修正し調査に取り組んでいる。調査内容はICU退室後患者の長期的メンタルヘルスの実態と、関連因子に家族の影響が含まれるソーシャルサポートを加え調査を計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は《課題1》アセスメントツールの選定と前向き調査の準備《課題2》メンタルヘルスとQOLに関する前向き調査の実施を計画した。《課題1》ツールの選定と前向き調査の準備では、ツールの選定は終了し、研究計画書の作成を終えている。《課題2》はICUに入室した患者とその家族を対象に、ICU退室後のメンタルヘルスとQOLについて追跡調査を計画した。しかし、新型コロナウイルス感染症により、家族の面会制限が生じた。ICUに入室した患者の家族を対象とした調査が困難となったため、ICU退室後の患者の追跡調査がなされていない本邦の現状を踏まえ、ICU退室後患者における長期的メンタルヘルスの実態を調査し、関連因子に家族の影響を加えて検討をする計画へ変更とした。 ICU退室後患者の長期的メンタルヘルスの関連因子として、ソーシャルサポートの調査を行うこととした。ソーシャルサポートはストレスと関連し、サポートが利用可能であるという信念によって、ストレスフルなイベントが健康に与える影響を低減させるとされる。海外では、ICU入室患者のソーシャルサポートが、ICU退室後のメンタルヘルスに影響する可能性が示唆されているが、本邦ではICU入室患者のソーシャルサポートと、ICU退室後のメンタルヘルスの関連は検討されていない。そのため「ICU入室前のソーシャルサポートがICUサバイバーのメンタルヘルスに与える影響」を研究課題とし調査を計画し、現在倫理審査中である。 計画の一部修正と、新型コロナウイルスの影響による研究実施機関の倫理審査の延期により、進捗状況はやや遅れているが、今後データ収集が可能となれば計画を終了できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症により家族の面会制限が生じ、ICUに入室した患者の家族を対象とした調査が困難となったため、ICU退室後の患者の追跡調査がなされていない本邦の現状を踏まえ、ICU退室後患者における長期的メンタルヘルスの実態を調査し、関連因子に家族の影響を加えて検討をする計画へ変更とした。変更した計画の内容であれば、調査可能であり、本研究の目的は達成できるものと考える。 今後も新型コロナウイルスの影響による研究実施機関の倫理審査の延期や、データ収集の一時中断などの課題が生じる可能性が考えられるが、調査機関を予定より長く設定し対応していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、新型コロナウイルス感染症により家族の面会制限が生じ、ICUに入室した患者の家族を対象とした調査が困難となったため、計画を一部修正した。また、研究実施施設の倫理審査の延期により、データ収集、データ解析にやや遅れが生じた。そのため、使用予定であった物品費を次年度に使用することとした。また、出席予定であった学会の中止や延期により、計上していた旅費は次年度以降へ使用することとなった。
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