研究課題/領域番号 |
19K19629
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
山本 知世 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教 (60803038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 服薬アドヒアランス / 独居高齢者 |
研究実績の概要 |
独居高齢者では、服薬に関する情報を得られにくいことや、服薬管理をサポートする介護者の存在もいないことから、服薬アドヒアランスが低下しやすい状態にあると考える。しかし、服薬アドヒアランスを維持・向上するための支援に焦点を当てた先行研究では、独居高齢者を対象として看護介入の効果を検証した研究は少ない。そこで、本研究では、独居高齢者を対象とした服薬アドヒアランスの向上を目指した看護介入プログラムを構築し、効果を検証することを目的とした。 看護介入プログラムの原案は、次の手順で作成した。 ①服薬アドヒアランスについて、患者が看護師から受けている援助、患者が看護師に求めている援助を明らかにすることを目的に、心房細動で抗凝固療法を行っている高齢者4名にインタビュー調査を実施した。質的に分析を行い、看護師から受けている援助では、【日常会話からの関係性の構築】、【患者の問題の明確化】、【医師との協働】という3つのカテゴリーを抽出した。しかし、「状態が安定しており、困っていることもない」、「医師や薬剤師の説明で納得できている」、「服薬忘れに対して、自身で対策が行えている」という理由から、看護師に求める具体的な援助は抽出されなかった。一方で、もう少し高齢になれば援助が必要になるかもしれない、状態が不安定な時や不安なことがある時には援助が必要であるという思いがあることを明らかにした。②文献検討を行い、服薬アドヒアランスの維持・向上に効果のあった介入を抽出した。③教育媒体(プログラムテキスト、服薬自己管理ノート)を作成し、家庭医療専門医にコンサルテーションすることで妥当性を確保した。④インタビュー調査、文献検討、専門家へのコンサルテーションを踏まえて、研究プロトコルを作成した。 まずは、予備調査により、看護介入プログラムの実行可能性、教育内容、評価方法の妥当性について検討を行っていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、高齢者に対するインタビュー調査および文献検討を踏まえて、独居高齢者の服薬アドヒアランスを維持するための看護介入プログラムの原案を作成した。また、教育媒体を含めた介入内容について、家庭医療専門医にコンサルテーションを受けた。今後は専門看護師などの他職種にもコンサルテーションを行い、看護介入プログラムを洗練化していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
独居高齢者の服薬アドヒアランスを維持するための看護介入プログラムの原案を用いて、無作為化比較試験による予備調査を行い、看護介入プログラムの実行可能性、教育内容、評価方法の妥当性について検討を行う。予備調査の計画は次の通りである。 1)対象の適格基準は、①65歳以上の者、②現在内科系の病棟に入院中で、退院までの期間が3~7日の者、③退院後は自宅で独居予定の者、④登録時点で6種類以上の定期内服をしている者とする。除外基準は、①認知症の診断がある者もしくは認知症治療薬を内服している者、②精神科・心療内科の患者とする。 2)介入方法は、研究対象施設に入院中に教育媒体を活用した支援を2回行い、退院後3か月は、週に1回電話支援、月に1回は面談にて支援を行う。 3)主要評価項目は服薬アドヒアランスとし、副次評価項目として、ピルカウント、ソーシャルネットワーク、健康関連QOL等を調査する。データ収集は、登録時と登録後4か月で行い、記述統計から全体の傾向を把握する。 予備調査の結果を踏まえてプログラムを洗練化した後、本調査を実施して看護介入プログラムの効果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度計画していた専門家へのコンサルテーションを行っていくため、専門家に対する謝金や打ち合わせのための旅費を使用する。また、介入を実施していくため、人件費を使用する。
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