令和5年度は、乳幼児を育てる保護者を対象に、医療被ばくを伴う検査に関する認識について調査を行った。調査方法はA市内の保育所・幼稚園に対して保護者へアンケートを配布していただき調査を依頼した。アンケート項目は、回答者の属性の他、画像検査の経験の有無、心配事の内容、心配への対処法などである。アンケートの説明と依頼は文書により行い、回収はgoogleフォームを利用したweb調査とした。 協力が得られた施設は4施設、配布数は191件、回収数は35件(回収率18.3%)であった。養育している子どもの人数は平均2.1(±0.85)人、子どもの平均年齢は5.0(±3.20)歳であった。子どもの検査の経験としては、単純レントゲン撮影が62.9%と最も多く、部位は手足が多かった。CT検査は31.4%が経験ありで、部位は頭部が最も多かった。造影検査は11.4%と少ないが、部位は心臓、頭部などの回答があった。心配の内容として最も多かったのは「子どもが怖がらないか」で心配ありとしたのは70.6%であった。「放射線の影響」は58.8%が心配ありと回答した。心配への対処方法は「医師や看護師に直接聞いたり相談したりする」「インターネットで調べる」の順に多かった。自由記述では、その他の心配事として鎮静薬の影響、病気そのものへの心配、などがあげられ、子どもの検査の際の医療者の態度に関する回答もあった。 今回回収率が非常に低かったが、回答者は子どもの医療被ばくを伴う画像検査の経験が比較的あり、このような検査に関心が高い層が回答するバイアスが生じていた可能性が考えられる。不安の内容は医療被ばくの有無だけでなく、子どもの心理面に関する不安が大きかった。患者や家族が医療者に対して、不安や心配について話し合えるような、診療場面での関わりが大切であると考えられた。
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