研究課題/領域番号 |
19K19639
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
副島 尭史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00768989)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | がん経験者 / 就労の質 / 患者活性化 |
研究実績の概要 |
1.実施概要:本研究は、1)がん経験者における就労の質 Quality of Working Life(QWL)の実態を明らかにする、2)QWL向上に対する介入のターゲットとして新たに家族機能へ着目し、QWLとの関連を明らかにする、3)がん経験者のQWL向上を目指した家族機能への介入方法を開発することを目的としている。2022年度は、若年成人期にがんを発症した者(若年成人期がん経験者)を対象とし、がんや治療による合併症と職務パフォーマンス、ワーク・エンゲイジメント、ワークライフバランスに関するオンラインでのアンケート調査を実施した。 2.実施内容:2021年4月から6月に、新型コロナウイルス流行に対応した研究計画を作成し、この研究計画に対する倫理委員会の承認を得た。2021年8月から11月に、インターネットリサーチ会社と協働し、オンラインアンケートの作成・試行を行い、2021年1月から2月に、若年成人期がん経験者よりデータを収集した。調査による知見として、就労している若年成人期がん経験者において、がんの診断時にリモートワークを利用している者は、利用していない者と比較して、がんの診断後も働き続けられることを明らかにした。新型コロナウイルスの流行に伴い、在宅勤務やリモートワークなどの新しい働き方が提案されており、今後も若年成人期がん経験者に対するリモートワークの推進は経済的課題の解決や健康関連QOLの向上につながると考えられる。また、職場に自身のがんについて開示している者は、開示していない者と比較して、がんや治療による合併症が患者活性化を介して、職務パフォーマンス、ワーク・エンゲイジメントにポジティブに影響していた。若年成人期がん経験者の希望に基づくものの、自身のがんや治療、その合併症をできる限り職場に伝えることは、若年成人期がん経験者のセルフケアを促進し、就労の質を向上することが考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、計画通り、新型コロナウイルス流行下において可能な調査を実施し、データ収集を完了した。調査により得られたデータの分析、論文などでの成果を公表する準備を今後進めていく予定である。当初の計画では2021年度に成果公表まで行う予定であったため、やや遅れていると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度に、若年成人期がん経験者を対象としたオンラインでのアンケート調査を通じてデータ収集を完了しており、今後は、フィールド調査終了後は、統計解析ソフト(SPSS、R、AMOS)を用いて、若年成人期がん経験者における、1)がんや治療による合併症、患者活性化、職務パフォーマンス、ワーク・エンゲイジメントの関連、2)ワークライフバランスと家族・職場からのサポートの関連、3)健康関連QOLとその関連要因を主なテーマとし、データ分析や成果発表を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前期:データ分析を進めているが、現在使用している統計解析ソフト(SPSS、AMOS)のサポートが終了しており、最新の統計解析ソフトを購入する予定であり、その購入費用が2022年度に必要である。後期:調査結果は専門誌への投稿を予定しており、専門誌への投稿に伴う英文校正費や投稿料が2021年度に計上した費用が2022年度に必要になる。また、同様に、国内学会・国際学会での成果公表を行うために、学会参加費、場合によっては旅費等が2022年度に必要となる。
|