高年妊娠の増加により、出生前検査を受ける人の割合も増加しており、遺伝カウンセリング体制の構築は喫緊な課題となっている。妊娠・出産は、女性の心理状態に影響を与え、産褥期にはうつ病に伴う抑うつや不安などの精神障害が起こりやすい。NIPTを受検する妊婦はメンタルストレスが高いことが報告されており、この結果は産後メンタルストレスを上昇させる因子をもつことを示唆している。産後うつ病は重症化すると自死を導くこともあり、社会的影響を及ぼす。そこで、本研究では、出生前検査をうけた妊婦の背景やニーズを明確化し、遺伝カウンセリングプログラムを構築することを目的とした。 2020年10月から2022年12月までの間に当院で出生前検査を受けた妊婦に対し、遺伝カウンセリング前後に質問紙調査を実施した。遺伝カウンセリング前にメンタルストレスが高い群と低い群に分類し、遺伝カウンセリング前にメンタルストレスが高い要因と遺伝カウンセリング前後での変化について検討を行った。本研究での調査により、検査を受けた妊婦の背景やメンタルストレスへの影響を明らかにすることができ、出生前検査を希望する妊婦に対する遺伝カウンセリング体制構築に寄与することができたと考える。
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