研究課題/領域番号 |
19K19647
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川村 麻由香 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (50822764)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 妊娠糖尿病 / インスリン療法 / 妊娠期 / 困難さ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インスリン療法を導入された外来通院中の妊娠糖尿病妊婦が生活の中で血糖コントロール方法を見出す過程を明らかにし、妊娠糖尿病妊婦に看護職が提供すべき具体的かつ効果的な看護支援を検討することである。 妊娠糖尿病と診断された後、インスリン療法が導入された妊婦9名の血糖コントロールの体験を聞き取り、インタビューデータを質的に分析した。分析の過程では、信用性と信頼可能性を確保するために、研究者が分析したデータを、母性看護学を専門とする研究者4名で分析が妥当か検討を重ねた。 インスリン療法を行う妊娠糖尿病妊婦が血糖コントロールを見出す過程について分析する中で、その過程において、妊婦は様々な困難さを抱え、それらの困難さに上手く対処していることがわかった。そのため、最初にインスリン療法を行う妊婦が抱く困難さに焦点化し、分析した。 分析の結果、妊婦は、【下腹部が見えないことや、腹部が摘まめないことによるインスリン注射の打ちにくさ】【児のいるお腹にインスリン注射を打つのが怖い・嫌と思いながら腹部に打つ】といったインスリン注射を腹部に打つことの困難さや、妊娠経過に伴うインスリン抵抗性の増大により【インスリンの投与量が増えることを心配する】【血糖コントロールに効果的と思う行動をしているのに、目標とする血糖値の範囲を超える】、【食事量や活動量、インスリンの投与量の変化により低血糖を起こす】といった血糖コントロールが上手くいかないことに困難さを感じていた。その他にも、インスリン注射と血糖測定の針を刺す痛み、いつもと違う場所や人前で治療に取り組むこと、日常生活の中で自分が思うままに行動ができないことに困難さを感じており、【】で示した4つのカテゴリーを含む計14のカテゴリーを得た。 上記の結果は、第26回母性看護学会学術集会にて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染拡大に伴い、研究協力施設への立ち入りが制限された時期があったため、研究対象者の募集およびデータ収集に時間を要したため、進捗に遅れがでた。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠糖尿病と診断され、インスリン療法を行う外来通院中の妊婦9名の血糖コントロールの体験に関するインタビューデータは、概ね分析を終えている。研究の成果は、2024年度に、第26回日本母性看護学会学術集会にて「インスリン療法を行う妊娠糖尿病妊婦が抱く困難さ」というテーマで発表することが決定している。また、「インスリン療法を行う妊娠糖尿病妊婦が抱く困難さと対処(仮)」、「インスリン療法を行う妊娠糖尿病妊婦が血糖コントロール方法を見出す過程(仮)」というテーマで、論文投稿を行い、研究の成果を公表する予定である。さらに、研究結果を元に外来における妊娠糖尿病妊婦の看護支援モデル案を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度には、研究成果の発表に係る費用を支出する予定であったが、データ分析の過程において、信用性と信頼可能性を確保するために、研究者が分析したデータを、母性看護学を専門とする研究者4名で分析が妥当か検討を重ねているため、当初予定していたよりも、分析に時間を要しており、次年度使用額が生じた。 2024年度は、助成金は以下の①~③の目的で使用する。①現在、論文投稿に向け、データ分析の信用性と確認可能性を確保するために、研究者が分析した結果を、母性看護学を専門とする研究者3名とともに、月に1~2回程度、オンラインにて研究会議を行い、分析の妥当かを検討している。そのため、オンラインで会議を行う際の通信費および会議資料の郵送費に使用する。②研究成果を公表するために、学術集会での発表および学術集会誌への論文投稿を予定しており、学会発表および論文投稿に係る費用に使用する。③本研究にて開発した看護支援モデル(案)は、臨床で働く産科・内科の医師および看護職とパネルディスカッションを行い、支援モデルを精錬することを予定しており、それに係る調整や手続き等を円滑に進めるための人件費として使用する。
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