研究課題/領域番号 |
19K19651
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
新道 由記子 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 准教授 (90321306)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 家庭訪問事業 / 助産師の家庭訪問 / 家庭訪問コンピテンシー / 助産師の専門性 |
研究実績の概要 |
2022年度は遅れていた『新生児訪問および乳児家庭全戸訪問事業に関する実態調査』の補完調査に着手できた。市町村から家庭訪問事業を受託する4つの府県から訪問事業に関わる担当者にインタビューすることができた。その結果、次の4点が明らかになった。①家庭訪問事業を受託する市町村と府県助産師会は良好な関係性が築けており、市町村から府県助産師会の信頼度が高い傾向にあった。②家庭訪問事業だけではなく、他の母子保健事業にも府県助産師会としてもしくは府県助産師会会員である個人の助産師として協働していた。③市町村から受託する家庭訪問事業の報酬が不十分な傾向があり、家庭訪問事業だけで生計を営むことは困難な状況にあった。④家庭訪問事業を市町村から受託して運営するためにはマンパワー不足があり、府県助産師会の家庭訪問事業拡大を困難にしていた。また、マンパワー不足は若手育成の障壁ともなっていた。 次に、セカンドステップとなる訪問事業を担う助産師のコンピテンシーを形成する知識・技術・能力、行動等抽出のためのインタビュー調査を21名の助産師に行った。その結果、家庭訪問時の知識・技術・能力の発揮は50サブカテゴリーから11カテゴリーが抽出され、2つの中核カテゴリー【受託業務としての家庭訪問を意識した振るまい】・【訪問ニーズを満たすためのエキスパートな対応力】が抽出された。また、受託した家庭訪問事業における他者評価は取り入れられていないことも明らかになった。 今後は、コンピテンシーレベルを踏まえた詳細な分析をする計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では2022年度で本研究は完結することになっていた。2021年度からの研究の遅れを2022年度に取り戻すことができず、2022年度はCOVID19の影響により調査の協力が得られない状況が加わり、2023年3月まで調査を続けざるを得なかった。そのため、補助事業期間を延長申請し、3月から実査と分析を並行して取り組んだ。 本研究に必要な調査は2022年度内に終えることができたため、2023年度は訪問事業を担う助産師のコンピテンシーを形成する知識・技術・能力、行動等の抽出結果から分析を深めコンピテンシーレベルの検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は訪問事業を担う助産師のコンピテンシーを形成する知識・技術・能力、行動等の抽出までは終えることができている。この結果から分析を深めコンピテンシーレベルの検討を行う。また、学術集会で示説発表にエントリーしており、示説発表フロアでの意見を聞いてレベル設定を見直す予定である。さらに、『新生児訪問および乳児家庭全戸訪問事業に関する実態調査』の補完調査に協力していただいた府県助産師会の会員に助産師の家庭訪問コンピテンシーをフィードバックして再検討し、コンピテンシーモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度からの研究の遅れを2022年度に取り戻すことができず、2022年度はCOVID19の影響により調査の協力が得られない状況が加わり、2023年3月まで調査を続けざるを得なかった。そのため、3月から実査と分析を並行して取り組んできたが、研究成果を学会発表や論文化することまで至らなかった。補助事業期間を延長申請し、2023年度は、訪問事業を担う助産師に必要なコンピテンシーモデルの枠組および構成要素を検討する。加えて『新生児訪問および乳児家庭全戸訪問事業に関する実態調査』の補完調査に協力していただいた府県助産師会の会員に助産師の家庭訪問コンピテンシーをフィードバックして再検討し、コンピテンシーモデルを構築する。 2023年度は学会発表をして研究成果を公開し、論文化に向けて取り組む。
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