2021年度に47都道府県助産師会を対象に質問紙「新生児訪問および乳児家庭全戸訪問事業に関する実態調査」を用いて郵送調査を実施した。2022年度には、家庭訪問事業を受託する府県助産師会で、同意の得られた4府県の助産師会に受託事業での取組と課題について補完調査を半構成的面接調査で実施した。 都道府県助産師会の家庭訪問事業への参画状況は、助産師会の会員数が多いと助産師会として事業を受託する傾向があった。助産師会として市町村から新生児訪問を受託していた割合は42.4%(14件)、乳児家庭全戸訪問事業は18.2%(6件)であった。助産師会として受託しない理由は、「市町村から業務委託されないから」がおよそ7割であった。家庭訪問事業に関する研修は、助産師会として事業を受託している助産師会は全て実施しており、個人委託の形態においても活動の後方支援として実施している助産師会もある一方で、およそ2割が全く実施をしていなかった。補完調査では、運営費用及び報酬についての課題と、助産師の質を担保しつつ事業拡大におけるマンパワー不足も課題であることが明らかとなった。 2022年度には、助産師が市町村から受託する家庭訪問事業において、育児不安の軽減・産後うつ病の早期発見や子どもの虐待防止に貢献できる助産師のコンピテンシーを明らかにするために、新生児訪問等を市町村の委託で担う助産師19名に半構成的面接調査を実施した。 家庭訪問時に必要な助産師のコンピテンシーは<倫理的感応力>・<専門的自律能力>に加えて<母親が自信をもてるようなアプローチ力>・<家族も対象であることを意識したアプローチ力>・<リプロダクティブヘルス/ライツを意識したアプローチ力>であることが明らかとなった。
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