研究課題/領域番号 |
19K19663
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
問本 弘美 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (90758377)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / 周産期 / 虐待予防 / 地域連携 / 養育支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、「周産期にドメスティック・バイオレンス(DV)を発見した医療施設の看護職から地域母子保健担当の看護職へ、産後の女性からの信頼をのせた支援バトンのつなぎ方」を開発する研究である。そのために①DVに積極的に取り組んでいる看護職等に対するグループインタビューを通して、周産期におけるDV被害者発見・妊娠中から産後までの支援関係の継続・地域母子保健との連携の経験を明らかにし、②地域母子保健担当の看護職を対象とした個別インタビューを通して、医療期間から受け取った情報をもとに、DVのある家庭で暮らす産後の母子との支援関係構築と安全確保・子育て支援・虐待予防の経験を明らかにする。そして2つの調査から、a)スクリーニング法以外でDV被害者を発見するための知見 ,b)母子が地域で確実に支援を受けられる状態に整え、医療機関で形成された信頼に基づく支援関係を地域に移行させるプロセス ,c)夫からの社会的隔離を考慮した支援方法、DVのある家庭特有の子育て困難に対する支援方法について考察し、妊娠中から産後の切れ目ない支援プログラムを開発することを目的としている。 2021年度は①②の調査(2か年計画のうち2年目)を実施、データ収集を行う予定であった。①についてはコロナ禍であることを考慮し、助産師を対象とした個別インタビューへ変更し、遠隔で実施した。現在分析作業中である。しかし、研究の内諾をいただいていた保健師の業務が多忙な状況が続いており、②については新たなインタビューの実施ができなかった。 長引くコロナ禍において、初年度に研究の内諾を得ていた保健師の参加が難しい状況が続いているため、新たなフィールドを獲得するため複数の学術集会に参加し、DVと子ども虐待予防に取り組んでいる実践家及び研究者との交流をもち、研究参加の呼びかけを行っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で研究の内諾をいただいていた市町村の保健師の業務負担が増大し、研究の参加が難しい状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は研究成果を学会発表し、支援プログラムの開発に着手する予定であった。現在までに行っている助産師、保健師対象のインタビュー調査からは、周産期のDV被害者と援助関係を構築するための知見や必要な支援、医療機関と母子保健の連携に関する知見が抽出されつつある。しかし、コロナ禍と研究者自身の産育休により、インタビューの参加者数が十分とは言えない状況である。そのため、現在開拓している新たな研究フィールドの協力を得ながら、今年度も引き続きインタビュー調査を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューを遠隔で実施したため、データ収集に伴う旅費が発生しなかった。また、所属機関の研究費で一部の謝金、学会参加費、その他経費を支出できたため、科研費からの支出が抑えられた。 次年度は引き続きインタビュー調査を実施する予定のため、次年度繰り越し分はインタビュー謝金及びテープ起こし代金として使用する予定である。
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