研究課題/領域番号 |
19K19668
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
矢郷 哲志 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00778243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 父親 / 関係性支援 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
2020年度は、Newborn Behavioral Observations (NBO) systemに関連する先行研究について、研究方法、対象、セッティング、介入頻度、介入効果を評価する指標など、NBOに関する幅広い知見を網羅的にマッピングすることを目的としてスコーピングレビューを実施した。 NBOを観察・介入ツールとして使用し、英語又は日本語で記載された論文を対象とした。事例検討、文献レビュー、尺度開発研究は除外した。対象期間は、NBOが開発された2006年から2021年1月までとし、データベースとして、PubMed、CINAHL、MEDLINE、Google Scholar、医学中央雑誌Web版、CiNiiを用いた。論文検索ならびに選定のプロセスは2名の独立した研究者が行った。 412編の論文が抽出され、22編が分析対象となった。分析の結果、NBOに関連する研究は、欧米(米国、英国、ノルウェー、ブラジル、オーストラリアなど)ならびにアジア(中国、日本)など多様な文化圏で実施されていた。研究方法は、量的研究が85%、その内、介入研究が72%を占めた。初回介入時期は産後2日が最も多く(38%)、介入頻度は1-2回が38%、次いで3-6回(23%)であった。介入場所は自宅が多数を占めた(46%)。介入効果の測定指標には、乳児(神経発達、社会-情緒的行動など)、親(内省機能、メンタルヘルスなど)、親子(親子の関係性)、NBOを実践するプロバイダー(親子の観察スキルなど)など、多岐に亘る指標が用いられていた。 本レビューの結果から、NBOは多様な文脈、文化に適応可能な親子の関係性支援ツールであることが確認された。日本での介入効果は十分検証されておらず、日本の父子、母子に対するNBOの介入効果を検証することの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、出生直後の親子に対面して、NBOを用いて直接的に介入することを必要とする。そのため、本年度は、新型コロナウィルス感染症に対する予防的観点や、感染拡大に伴う研究活動制限の影響から本来の介入研究の遂行が困難な状況にあった。そのため、本年度は、NBOのこれまでの各国の研究知見を概観することに主眼を置き、文献のスコーピングレビューに着手し、成果を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、新型コロナウィルスの感染拡大状況を鑑みながら、介入研究(量的研究)を開始し、データ収集を加速させる。また、非構造化インタビューによる質的研究のデータ収集についても並行して進め、早期に量的データとの統合を図る。また、NBOに関連する文献のスコーピングレビューに関する知見を精錬し、論文化し公表することを企図している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う研究活動制限から、対面による介入研究の実施が困難となり、次年度使用額が生じた。2021年度は、介入研究の遂行に伴う必要経費として、会議費、通信費、研究協力謝金、アセスメント尺度ならびに用具の購入費、国内外の旅費として学会発表など成果報告のための交通費の支出を予定している。また、データ整理などを実施する研究補助者の雇用を予定している。さらに、研究成果を論文発表する上での英文校正、投稿費用などでの支出を予定している。
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