研究実績の概要 |
2006年にNewborn Behavioral Observations (NBO) systemが開発されて以降、過去17年間に発行されたNBOに関連した国内外の論文の知見を網羅的にレビューし、リサーチギャップを特定した上で、今後のNBOの研究及び臨床活用への示唆を得ることを目的として2021年度から継続して実施しているスコーピングレビューについて、これまで2022年1月までとしていた論文検索対象期間を2022年9月まで拡大し、新たに論文検索及び分析を行った。 分析の結果、新たに7件の論文が追加され、29件の論文が分析対象となった。PAGER frameworkを用いて知見の整理を行い、(1) usage pattern of NBO、(2) participants, setting, duration, and frequency of the NBO intervention, (3) outcome measures and effects of the NBO intervention, (4) findings from a qualitative perspectiveの4つのテーマが生成された。対象論文29件には、介入研究18件が含まれ、介入効果を測定するアウトカムとして、親のメンタルヘルス、親子の関係性、乳児の発達、NBO介入を実践する臨床家の知識及び自信などが用いられていた。介入効果として、NBOによる介入は、親の抑うつ及び不安を軽減し、母親の感受性を高め、介入を行う臨床家の自信及び知識を深めることが示された。リサーチギャップとして、NBO介入の中長期的な効果を測定する縦断研究、父親に対する介入効果の検討、初産婦と経産婦など親の特性に関連した介入効果の比較などの知見の不足が明らかとなり、将来的な研究活動の方向性を明確に示すことができた。
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